もくじ

障害年金は公的年金です

年金は3種類あります

国民年金厚生年金には、次の3種類の年金があります。

  1. 老齢年金
  2. 障害年金
  3. 遺族年金

多くの人にとって、年金といえば「高齢者がもらえるお金(=老齢年金)」ですが、ここでのテーマは「障害年金」。

障害年金は、基本的に20歳~64歳の現役世代が請求できる年金です。

障害年金の年金額

令和7年度の年金額

※昭和31年4月2日以降に生まれた方の場合

障害基礎年金1級 1,039,625 円
月額 8万6千円くらい

障害基礎年金2級 831,700 円
月額 6万9千円くらい

障害厚生年金3級 623,800円(最低保障額)
月額 5万2千円くらい

もしも、今後何年間も受給すると考えれば…

  • 障害基礎年金2級なら、5年間で400万円超の受給
  • 障害厚生年金3級(最低保障額)なら、5年間で300万円超の受給

決して少なくない金額です

初診日から1年6か月たったら障害年金を請求しませんか?

障害年金は保険です

障害の原因となった傷病について、初めて医師の診察を受けた日から1年6か月が経過すれば、障害年金を受給できる可能性があります。

ほとんどの場合、年金だけで生活できる額が支給されるわけではありませんが、

定期的に決まった額のお金が入ってくるというのは、やはり良いものです

基本的に、障害年金は「保険」です。せっかく保険に入っていても、いざというときにお金を請求しなければ、意味がないですよね。

民間の保険商品と同様、請求もれのないようにしましょう

歳をとったら当たり前に老齢年金をもらうように、障害があれば当たり前に障害年金なのです。

障害年金3つの受給要件

①被保険者要件

※初診日に加入していた年金制度により、請求する年金の種類(障害基礎年金 or 障害厚生年金)が決まります。

初診日は、書面等による証明が必要であり、基本的には、医療機関に当時の診療録(カルテ)が残っていることが必要です。

※診療録(カルテ)は、少なくとも、最後の受診日から5年間は残っています。病院に電話し、「障害年金の請求を考えているのですが、私のカルテはまだ残っていますか?」と聞けば、教えてくれる場合がほとんどです。最後の受診が10年くらい前でも、意外と残っている場合があります。

障害基礎年金を請求する場合

初診日の時点で、次のいずれかに該当することが必要です。

  • 国民年金の被保険者であること
  • 20歳未満であること
  • 国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所があり、かつ60歳以上65歳未満であること

障害厚生年金を請求する場合

初診日の時点で、厚生年金保険の被保険者であることが必要です。

②保険料納付要件

年金保険料の納付状況が問われます。

原則としては、初診日の前日において、初診日が属する月の前々月までに、保険料を納付した期間と免除となった期間を合わせた期間が、被保険者期間全体の3分の2以上あることが必要です。

ただ、初診日が令和8年3月末日までにあり、かつ、初診日に65歳未満である場合、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に未納期間がなければ、それで要件を満たすこととされています。

③障害等級該当要件

障害の状態が、法令で定められた障害等級に該当しているのかどうかということです。

基本的には、初診日から1年6か月を過ぎた日(障害認定日)において、障害の状態が障害等級に該当すれば受給できる可能性があります。

ただし、障害認定日の時点では障害等級に該当するほどではなかったものの、その後状態が悪化してしまったというケースでも請求可能です。

ものすごく大ざっぱなイメージとしては…

  • 1級:ほぼ寝たきりの状態
  • 2級:寝たきりというほどではないものの、外出困難で就労不能の状態
  • 3級:就労できなくはないものの、通常のフルタイム勤務はできない状態

精神障害や発達障害で、自分が障害年金をもらえるほどの状態かよくわからないとき、主治医の先生に障害年金について聞いてみるのもよいかもしれません。

どのみち障害年金を請求するには、主治医の先生に診断書を書いていただく必要があるからです。

なお、3級まであるのは障害厚生年金だけです。障害基礎年金の場合は、1級と2級しかありません。

数字で見る障害年金|精神障害・知的障害

全国の障害年金統計

新規裁定件数(精神障害・知的障害)

障害基礎年金

スクロールできます
決定数1級2級非該当
R1年度55,2006,94141,4946,765
R2年度59,1427,70046,9414,501
R3年度65,1577,78953,4113,957
R4年度64,6767,20553,3394,132
R5年度72,4497,13960,1575,153

障害厚生年金

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決定数1級2級3級手当金非該当
R1年度17,6635258,7606,64301,735
R2年度18,7806649,1827,67601,258
R3年度21,67577611,1168,8080975
R4年度22,36264811,0889,6400986
R5年度26,64763411,94512,92531,140

上記の件数を割合(%)で見てみると

障害基礎年金

スクロールできます
支給
(1級~2級)
1級2級非該当
R1年度87.7%12.6%75.2%12.3%
R2年度92.4%13.0%79.4%7.6%
R3年度93.9%12.0%82.0%6.1%
R4年度93.6%11.1%82.5%6.4%
R5年度92.9%9.9%83.0%7.1%

障害厚生年金

スクロールできます
支給
(1級~3級
+手当金)
1級2級3級手当金非該当
R1年度90.2%3.0%49.6%37.6%0.0%9.8%
R2年度93.3%3.5%48.9%40.9%0.0%6.7%
R3年度95.5%3.6%51.3%40.6%0.0%4.5%
R4年度95.6%2.9%49.6%43.1%0.0%4.4%
R5年度95.7%2.4%44.8%48.5%0.0%4.3%

参考とした資料は、日本年金機構の「障害年金業務統計」です。

🔗令和1年度.pdf

🔗令和2年度.pdf

🔗令和3年度.pdf

🔗令和4年度.pdf

🔗令和5年度.pdf

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