労災保険と障害年金の調整

労災保険と障害年金の両方を受け取ることができるときは、下記のように調整が行われます。

障害年金は全額支給され、労災は減額されます

同一の事由により、労災保険の給付と障害厚生年金・障害基礎年金が支給されるときは、原則として障害年金が優先的に全額支給され、労災保険の給付が下記のように減額されて支給されます。

その際、調整後の受給総額が、調整前の労災の給付額よりも低下しないように考慮されます。

傷病(補償)年金の支給率

  • 1級2級の障害基礎年金+障害厚生年金と併給される場合は、73%が支給される
  • 3級の障害厚生年金と併給される場合は、88%が支給される
  • 1級2級の障害基礎年金と併給される場合は、88%が支給される

障害(補償)年金の支給率

  • 1級2級の障害基礎年金+障害厚生年金と併給される場合は、73%が支給される
  • 3級の障害厚生年金と併給される場合は、83%が支給される
  • 1級2級の障害基礎年金と併給される場合は、88%が支給される

※「○○(補償)年金」とは、業務災害の場合が「○○補償年金」、通勤災害の場合が「○○年金」という意味です。

障害年金が支給されない場合もあります

以下の①②の場合については、労災の給付が全額支給され、障害年金が支給されないことになります。

【①20歳前傷病による障害基礎年金を受給する場合】

同一事由に限らず、労災保険の「障害(補償)年金」と国民年金の「20歳前傷病による障害基礎年金」を受給できる場合には、労災保険の障害(補償)年金が全額支給され、20前傷病による障害基礎年金は支給されません。

【②厚生年金保険の障害手当金を受給する場合】

同一の事由について、労災保険の「障害(補償)一時金」と厚生年金の「障害手当金」を受給できる場合には、労災保険の障害(補償)一時金が全額支給され、障害手当金は支給されません。

【参考】労災保険の給付について

休業(補償)給付

業務・通勤での負傷・疾病による療養のために仕事をすることができないとき、賃金をもらえない日の4日目から支給されるものです。

支給額は、1日につき給付基礎日額の100分の60とされています。

※給付基礎日額とは、労働基準法の平均賃金に相当するもので、平均賃金とは、「算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」とされています。
算定すべき事由の発生した日とは、この場合、事故発生の日または診断により疾病の発生が確定した日です。

傷病(補償)年金

業務・通勤での負傷・疾病による療養の開始後1年6か月を経過した日において、下記①②の両方に該当するとき、または、1年6か月経過した日の後に両方に該当することになったとき、その状態が継続している間支給されるものです。

①当該負傷または疾病が治っていないこと。

②当該負傷または疾病による障害の程度が傷病等級(1級~3級)に該当すること。

なお、これは、上記の休業(補償)給付に切り替えて支給されるもので、労働基準監督署長の職権によって支給が決定されます。

傷病等級傷病(補償)年金の年金額
第1級1年につき給付基礎日額の313日分
第2級1年につき給付基礎日額の277日分
第3級1年につき給付基礎日額の245日分

障害(補償)年金・障害(補償)一時金

業務・通勤での負傷・疾病が治った後、身体に障害等級に該当する障害が残った場合に、その障害等級に応じて年金または一時金が支給されるものです。

障害等級は1級~14級まであり、1~7級が年金、8~14級が一時金です。

保険給付障害等級
(給付基礎日額の何日分か)
障害(補償)年金第1級
第2級
第3級
第4級
第5級
第6級
第7級
313日分
277日分
245日分
213日分
184日分
156日分
131日分
障害(補償)一時金第8級
第9級
第10級
第11級
第12級
第13級
第14級
503日分
391日分
302日分
223日分
156日分
101日分
56日分