難病は初診日の確定が難しい

難病とは、治療が困難で、慢性的経過をたどり、本人・家族の経済的・身体的・精神的負担が大きい疾患です。

絶対的な症例数が少なく、確定診断を下せる専門医も限られるため、原因不明の疾患として複数の病院を受診するケースが多くなります。

そうなると、いったいどの受診日が初診日なのか、判断が非常に難しくなってきます。

初診日の候補としては、「体調不良で初めて受診した日」、「難病の疑いありと医師に診断された日」、「確定診断を受けた日」などが考えられ、このどれもが初診日となる可能性があるのです。

初めて受診した日 or 確定診断日

確定診断が難しい疾患では、初めての受診日から確定診断が行われるまで、1年以上の月日を要する場合があります。

たとえば、その間に体調不良により会社を退職していたとすると、在職中の「初めての受診日」が初診日であれば障害厚生年金を請求できますが、退職後の「確定診断日」が初診日であれば障害基礎年金の請求となります。

できれば「初めての受診日」を初診日と認めてもらいたいところですが、そのためには、「初めての受診日」と「確定診断日」との間に相当因果関係があると認めてもらう必要があります。

これは、「初めての受診日」の医療機関に受診状況等証明書を作成してもらう際、医師の判断を仰いで相当因果関係がある旨を受診状況等証明書に記載してもらうと、障害厚生年金を請求できるかもしれません。

線維筋痛症等に係る初診日

発症直後に確定診断がされない事例が見られるとして、線維筋痛症化学物質過敏症慢性疲労症候群及び重症筋無力症(以下「線維筋痛症等」)については、初診日の取り扱いについて厚労省から指針が出されています(令和3年8月24日「線維筋痛症等に係る障害年金の初診日の取扱いについて」)。

これは、次の3項目すべてに該当する場合、請求者が申し立てた初診日を障害年金の初診日として取り扱うことができるというものです。

  1. 申立初診日に係る医療機関が作成した「診断書」または「受診状況等証明書」の記載内容から、申立初診日において、請求者が線維筋痛症等の症状に係る診療を受けていたものと認められること。
  2. 確定診断をした医療機関が作成した「診断書」において、申し立てた初診日が初めて医師の診療を受けた日として記載されていること。
  3. 発症直後に確定診断が行われていなかった理由について、申し立てをしていること。