発達障害で障害年金(病歴・就労状況等申立書の書き方)

障害年金、意外ともらえる?

全国の障害年金統計(令和4年度)

精神障害・知的障害の新規裁定件数

▼障害基礎年金は、93.6%が等級該当

基礎年金1級2級非該当
決定数
計64,676
7,20553,3394,132
構成比11.1%82.5%6.4%

▼障害厚生年金は、95.6%が等級該当

厚生年金1級2級3級手当金非該当
決定数
計22,362
64811,0889,6400986
構成比2.9%49.6%43.1%0%4.4%

※構成比(%)は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100にならない場合があります。

参考とした資料は、日本年金機構の「障害年金業務統計」です
障害年金業務統計.pdf (nenkin.go.jp)

群馬県前橋市の障害年金専門社労士 鈴木雅人
社会保険労務士・精神保健福祉士
鈴木雅人

病歴・就労状況等申立書は出生時から

発達障害の場合、「出生時から」現在までの具体的なエピソードを記載していくことになります。なお、この点は知的障害の場合も同様です。

病歴・就労状況等申立書の記入例(ASD)

※あくまで記入例です。下にテキスト版あり。

病歴・就労状況等申立書(発達障害記入例①)
病歴・就労状況等申立書(発達障害記入例②)

上の画像と下記は同じ内容です

病歴・就労状況等申立書の記入例

出生~幼稚園入園前

平成10年4月1日~平成13年3月31日
受診していない

平成10年4月1日出生。
寝つくのに時間がかかり、泣いたり暴れたりして母親を困惑させていた。
車に乗っていると眠ることができたため、母親が寝かしつけのためのドライブによく連れて行ってくれていた。
食事は偏食傾向があり、ご飯やうどんなどの白いものしか口にしなかった。
また、一人で過ごしていても平気であり、母親が部屋から出て行っても後を追うようなことはなかった。

幼稚園

平成13年4月1日~平成16年3月31日
受診していない

幼稚園では他の子と一緒に遊ぶことはせず、いつも一人で遊んでいた。
人とのかかわりが苦手で、他の子を傷つけるようなことを平気で言ったり、一方的にしゃべったりしていた。
ときどき、怒った他の子から手をあげられることがあり、園から母親に連絡が来ていた。
また、こだわりが強く、登園の道順が普段通りではないとパニックになった。
その際、途中で引き返し、自宅からもう一度いつも通りの道順で登園し直していた。

小学校低学年

平成16年4月1日~平成19年3月31日
受診していない

危険なことへの恐怖心が薄く、左右を確認せずに道路を横断しようとしたり、平気で高いところから飛び降りたりしていた。
登下校は母親が付き添うか、車での送迎をしてもらっていた。
クラスでは仲の良い友達ができず、一人で過ごすことが多かった。
他人の気持ちを想像することができず、相手の嫌がることを平気で口にしていた。
そのため、よく教師から注意を受けていた。集団行動や、他の子と協力しての作業などがとにかく苦手であった。

小学校高学年

平成19年4月1日~平成22年3月31日
受診していない

学校で、「廊下を走ってはいけない」などのルールに人一倍こだわりがあり、ルールを守らない子を厳しく注意するなどしていた。
周囲からは「変わった子」と見られ、あだ名を付けられてからかわれていた。
集団行動がとにかく苦手であり、運動会や遠足などの学校行事も苦痛であった。
ただ、予定の変更もまた苦痛であり、天候不良でそのような行事が延期になったり中止になったりすると、不安でどうしようもない気分になった。

中学校

平成22年4月1日~平成25年3月31日
受診していない

学業成績は良かったものの、学校で過ごす時間は苦痛であり、たまに休みつつ通学していた。
クラスメートとの距離感がわからない、暗黙のルールがよくわからない、場の空気を読まずに思ったことをそのまま口にしてしまう等により、浮いた存在となっていた。
からかいの対象になっており、教科書やノートを隠される等のいじめも受けていた。
休み時間も一人で過ごしており、寝たふりをして時間をつぶしていた。
部活動には必ず入らなけれならなかったため英会話部に入部したが、実際には帰宅部状態であった。
修学旅行もまったく楽しめず、2泊3日の我慢旅行となった。
自宅では主にテレビゲームをして過ごし、それに没頭していると気持ちが落ち着いた。

高校

平成25年4月1日~平成28年3月31日
受診していない

相変わらず学校では一人で過ごすことが多かった。
他人と協力して物事を進めることが苦手であり、体育祭や文化祭等、クラスの一体感を求められる行事が特に苦痛であった。
反面、教室で授業を聞くことや、一人で黙々とテスト勉強をすることは苦痛に感じなかった。
部活動には入らず、自宅ではテレビゲームをしたり小説を読むなどして過ごしていた。
それなりの進学校であったためか、クラスでいじめにあうようなことはなかったものの、相手の目を見て話せないことでからかわれたりしていた。
修学旅行はどうしても行く気になれず、参加しなかった。
なお、電車通学だったため、毎朝決まった時刻の決まった車両に乗ることにしていた。
ときどき乗り遅れたときは、嫌な気分になり自宅に引き返し学校を休んでいた。

大学

平成28年4月1日~令和2年3月31日
受診していない

自宅から通える大学に進学。
他人とのかかわりや集団行動が苦手なために部活動やサークル活動は行わず、学内ではいつも一人で過ごしていた。
時間を持て余していたため、スーパーで野菜の品出しのアルバイトをしてみたものの、2か月も続かなかった。
仕事上の不明点を他の人に聞かずに自己判断で処理してしまい、度々注意を受けた。
また、お客様からの質問にも失礼な回答をしてしまい、苦情に発展したこともあった。
叱責ばかりされるため嫌になって辞めてしまい、それ以降アルバイトはやらなかった。
友人もおらず、最低限の授業に出席するだけの味気ない大学生活だった。
ただ、コンピュータープログラミングに興味がわき、独学で勉強していた。
高校までは決められたことを決められたとおりにやっていればよかったが、自由度の高い大学生活には上手く馴染むことができなかった。

就職

令和2年4月1日~令和3年5月14日
受診していない

プログラマーとして新卒採用されたソフトウェア開発会社に入社。
プログラミング技術は問題なかったものの、「報告・連絡・相談が適切にできない」、「急なスケジュール変更に臨機応変な対応ができない」、「思ったことをそのまま口にして先輩や上司に不快な思いを与えてしまう」等々により度々注意を受けた。
やがて、入社から1年ほど経過した頃から気分の落ち込みが大きくなり、夜も上手く寝つけないようになった。

初診

令和3年5月15日~令和5年12月現在
受診した
○○クリニック

気分の落ち込みにより会社も休みがちになり、両親の強い勧めで令和3年5月15日に近所の○○クリニックを受診。
発達障害の疑いがあるとのことで検査をしたところ、ASDの診断を受けた。以降、服薬と月1回の通院を継続。
勤務先は、注意を受けてばかりの日々に嫌気が差し、令和3年6月に退職。
半年ほど自宅で何をするともなく過ごしていたが、令和4年1月からアルバイトを開始(郵便局での仕分け作業 13時~17時の4時間 週5日)。
他人とのかかわりもほとんどなく、黙々と作業をすることが性に合っており、現在のところ継続できている。
両親からは正社員としての再就職を促されているが、適切な報連相や臨機応変な対応が極端に苦手なことから、自分には難しいと感じている。
令和4年3月精神障害者保健福祉手帳(3級)取得。

病歴・就労状況等申立書のポイント

発達障害は、障害年金の認定基準によると、次の点に着目して認定が行われるとされています。

認定の着目点

社会行動コミュニケーション能力の障害により
対人関係意思疎通を円滑に行うことができないために
日常生活に著しい制限を受けること

よって、発達障害の病歴・就労状況等申立書では、次の点を意識して具体的エピソードを記載していくとよいでしょう

  • いかに社会性がないか
  • いかにコミュニケーション能力がないか
  • いかに対人関係を築くことが困難であるか
  • いかに円滑な意思疎通が困難であるか

また、医師に障害年金用の診断書を依頼する際、日頃の診察でこれらのことを伝えきれていないと思えば、具体的エピソードをメモにして手渡すなどの工夫をすると、診断書に反映されるかもしれません。

(参考)対人トラブルになる理由

ASDの場合

  • こだわりが強い
  • 話の全体像よりも細部にこだわる
  • 自分の興味があること以外に関心がない
  • 基本的にマイペースで、他人の言動に興味がない
  • グループへの帰属意識が薄く、自分のこだわりを優先する
  • 社交のマナーがわからない
  • 暗黙の了解がわからない
  • 空気が読めない
  • 人の表情を読むことや、口調や態度から相手の気持ちを読むことが苦手
  • 冗談や皮肉などの言外の意味を推察することが苦手

ADHDの場合

  • 落ち着きがなく、思いつきで行動する
  • 約束を守らず、自分のことを優先する
  • 気配りができない
  • 待つことができない
  • 気が散りやすく、集中力が続かず、飽きっぽい
  • 人の話に割り込んで話す
  • しゃべり過ぎる
  • 会話の内容が変わっても気付かず、的外れなことを言ったりしたりする
  • 会話の内容があっちこっちへ飛ぶ
  • 秘密にすべきことをつい話してしまう
  • 総じて、自分勝手な人と思われやすく、信用されにくい

参考図書:『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編 18歳以上の心と問題行動をサポートする本』宮尾益知/監修 河出書房新社

強迫性障害や摂食障害等の二次障害があるとき

発達障害の二次障害として、強迫性障害や摂食障害などを併発していることも珍しくないと思います。ご本人としては、発達障害というよりも、強迫性障害や摂食障害の方がつらく苦しいということもあるでしょう。

しかし、障害年金の認定基準によれば、強迫性障害等の神経症は、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とはなりません。

摂食障害も、基本的には障害年金の認定対象にはなりません。

そのため、認定対象外の精神疾患が併存しているときには、対象外の疾患による困りごとをいくらアピールしても、さほど意味はないものと考えられます。(いくらアピールしても、そもそもが「対象外」です。)

「認定対象外の疾患による日常生活上の困難さ」をアピールするのではなく、「発達障害そのもの(社会行動やコミュニケーション能力の障害)による日常生活上の困難さ」をアピールしていく方が、理にかなっているでしょう。

🔗障害年金(精神の障害)の認定基準・認定要領 (wakamiya-sr.com)

(参考)ASDの苦悩

かつてアスペルガー症候群といわれていたタイプ、つまり知的レベルが高く、言語の習得にも問題がない自閉スペクトラム症の人は、青年期や成人期になって対人関係や社会適応の壁にぶつかり、初めて相談機関や医療機関を訪ねることがあります。

そこで訴えられる苦悩は、周囲と違う自分自身の存在、就職を含む生活の困難、対人関係の挫折などに関連する切実な不安感や絶望感などです。自分が異質な人間で、周囲に避けられ、家族に迷惑をかけ、将来の見通しが立たないという絶望感は、しばしば自殺願望につながるほどのものです。

なお、その症状は、「本来の脳機能障害によるもの」と「精神的苦痛によって二次的に生じるもの」とが、お互いに悪循環をきたしたものということができます。

参考図書:『精神医学ハンドブック 医学・保健・福祉の基礎知識 第8版』山下格/著 大森哲郎/補訂 日本評論社

病歴・就労状況等申立書で参考にしたい発達障害の特性・特徴

ここでは、乳幼児期~大学生によくみられる発達障害(ASD・ADHD)の特性・特徴について記載します。

病歴・就労状況等申立書に記載する具体的エピソードが思い出せないとき、もしも下記にあてはまるようなエピソードがあれば、発達障害に特有のものと言えます。簡潔に記載しておくとよいでしょう。

乳幼児期・小学生

主に乳幼児期

  • 乳児のときから母親に抱きついたりせず、あやされて喜んだりしない
  • だっこや手をつなぐことが苦手
  • 歩き始めても母親の後追いをしない
  • 目を合わせない
  • 目が合っても、それで気持ちを伝え合うことができない
  • 相手の表情や動作から意味を読み取れない
  • 仕草や指差しで自分の要求を伝えられない
  • 相手の腕をつかんで、欲しい物のところへ持っていく(クレーン現象)
  • 言葉によるコミュニケーションが苦手
  • 集団行動が苦手
  • 例えば「これ食べたい?」と聞かれたとき、その意味するところがよく理解できず、「これ食べたい?」というおうむ返し(反響言語)になってしまう
  • 思い通りにならないことがあったとき、大声をあげて相手に体当たりする
  • 自分の手首をかんだり、眼球を指で押す
  • 見境なくどこにでも入っていく
  • 立ち歩きができるようになると著しく落ち着きなく走り回る(すぐ迷子になる)
  • 誰にでもしがみつき、いつまでも話しかける
  • 気にかかることがあると、場所や時間に関係なく確認を繰り返す
  • 極端な偏食
  • 決まった衣服しか着ない
  • 決まった遊びをいつまでも繰り返す
  • 外出時にいつも同じ道を通らないと気がすまない
  • ときに発作的で極端な興奮(パニック)

主に小学生

  • 行事参加が苦手
  • 冗談や比喩が理解できない
  • 自分の気持ちや状況を説明するのが苦手
  • 状況判断が苦手(ある一場面だけ見て判断してしまう)
  • 先生からの一斉指示が伝わりにくい(周囲より行動が遅れる)
  • 地図や電車の時刻表などに熱中して他に興味を示さない
  • 得意教科、不得意教科が出てくる
  • 日常のちょっとした変化を嫌う
  • 自分なりのやり方、ルールにこだわる
  • 音や光などについて、感覚の過敏さや鈍感さがある
  • 授業中じっとしていられない
  • 注意を受けてもいつも体をくねらせたり手をぶらぶらさせたりしている
  • 机の間を走り回り教室から飛び出してしまう。
  • 教室から飛び出すことはないものの、繰り返しおしゃべりやいたずらをする
  • 忘れ物が多い
  • 相手が質問をしている際、質問を全部聞かずに答えを言う
  • 順番が守れず割り込みをする
  • 周りを見ないで道路に飛び出す
  • 転んだり何かにぶつかったり、生傷が絶えない
  • 感情的・攻撃的になることが多く、気に入らないと喧嘩をして友達から避けられる
  • 友人から誘われれば付き合う(特に女の子)
  • 服や持ち物に強くこだわる(特に女の子)
  • おしゃべりがとまらない(特に女の子)
  • 人の言うことをすぐに信じてしまう(特に女の子)
  • 女の子特有の集団コミュニケーションが難しい
  • マイペース(特に女の子)

中学生・高校生、大学生

主に中学生・高校生

  • グループ行動が苦手
  • 友だちとの会話が苦手
  • 学校行事に参加するのが苦手
  • 頼まれごとを断ることが苦手
  • 人間関係で悩むことが多い
  • 複数のことを同時進行することが難しい
  • 忘れ物が多い
  • 物の紛失が多い
  • 整理整頓が苦手
  • 計画的に勉強を進めることが苦手
  • 提出物の期限を守れない
  • 勉強に遅れがみられる
  • 遅刻が多い
  • 体調不良を頻繁に訴える(頭痛、胃痛、めまい、朝起きられない、夜眠れない、気分の上下が激しい等)

主に大学生

  • 時間割がひとりでは組めずに、履修登録ができない
  • レポートの提出日や先生との面接など、大事な約束を忘れる(あるいは、遅刻する)
  • スケジュール管理ができずに、学習が進められない(レポート提出に間に合わない)
  • 実験や実習の手順がわからない(器具の操作がうまくいかない)
  • 整理整頓できずに、忘れ物が多い
  • ノートを取るのに時間がかかる(手書きでノートを取るのが難しい)
  • 予測できないことがあると対応できず、教室を出てしまったり声をあげたりする
  • ゼミやサークルで、先生や学生とのコミュニケーションがうまくいかない
  • 履歴書が書けない
  • 就職活動の段取りが組めない

その他の留意事項

認定基準と診断書は「精神の障害」です

発達障害は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」において「精神の障害」に分類されており、認定の際のキーワードとしては「コミュニケーション能力」「社会的な適応性」などがあげられます。また、精神の障害ですので、診断書は「精神の障害用」を使用します。

「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が適用されます

発達障害は「精神の障害」に含まれますので、精神の障害に係る等級判定ガイドラインが適用されます。このガイドラインについては別記事で解説しておりますので、そちらを参考としてください。

初診日は「初めて受診した日」です

発達障害の初診日は、原則通り「初めて受診した日」です。そのため、初診日が20歳以降であれば、当然に保険料納付要件が問われることになります。生年月日が初診日となる生まれながらの知的障害との違いに注意しましょう。障害認定基準にも下記の記述があります。

(3) 発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が 20 歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第1章第8節 精神の障害

なお、発達障害の初診日は「確定診断された日」ではなく、「その症状により初めて受診した日」であるという点にも注意が必要です。

知的障害や他の精神疾患を併発している場合

発達障害に加え、知的障害や他の精神疾患を併発している場合、それらは同一傷病なのか別傷病なのか、どちらとみなされるのでしょうか。同一傷病か別傷病かによって初診日等に影響が出てきますが、これに関しては、厚労省から以下のとおり目安が示されています。なお、あくまで目安ですので、認定の際は、発病の経過や症状から総合的に判断されます。

(1)うつ病又は統合失調症と診断されていた者に、後から発達障害が判明した場合

そのほとんどが診断名の変更であり、新たな疾病が発症したものではないことから別疾病とせず、「同一疾病」として扱う。

(2)発達障害と診断された者に、後からうつ病や神経症で精神病様態を併発した場合

うつ病や精神病様態は、発達障害が起因して発症したものとの考えが一般的であり、「同一疾病」として扱う。

(3)知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に、後から発達障害が診断されて障害等級に該当する場合

知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされているので、原則「同一疾病」として扱う。たとえば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとする。

ただし、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の程度により初めて診療を受けた日を初診とし、「別疾病」として扱う。

(4)発達障害や知的障害である者に、後から統合失調症が発症

このようなケースは極めて少ないとされていることから、原則として「別疾病」とする。

ただし、発達障害や知的障害の症状の中には稀に統合失調症の様態を呈すものもあり、そのため診断書作成医が統合失調症の診断名を発達障害や知的障害の傷病名に付す場合がある。このような場合、それはあくまで発達障害や知的障害の症状であるため、「同一疾病」とする。

■発達障害や知的障害と精神疾患が併発する場合の一例

前発疾病後発疾病判定
発達障害うつ病同一疾病
発達障害神経症で精神病様態同一疾病
うつ病
統合失調症
発達障害診断名の変更
(同一疾病)
知的障害(軽度)発達障害同一疾患
発達障害統合失調症前発疾病の病態として出現している場合は同一の疾患(確認が必要)
発達障害その他精神疾患別疾患

※あくまで一例であり、必ず上記のように判断されるというものではありません。ただし、目安として示されている以上、これと異なる主張をする場合には、それ相応の根拠を示す必要があると考えられます。