簡素化した病歴・就労状況等申立書の記入例(うつ病など)

この記事の内容

20歳前傷病による障害基礎年金を請求する際、病歴・就労状況等申立書の記載を簡素化できる場合があります。

ここでは、生まれつきではない発達障害やうつ病簡素化の記入例をご紹介します。

なお、あくまで「簡素化できる場合がある」というだけの話で、「簡素化しなければならない」というわけではありません。

簡素化せずに通常どおり記載し、申し立てるべきことをしっかりと申し立てた方がよいのではないかと思います。

病歴・就労状況等申立書の記載を簡素化できる場合

そもそも簡素化とは

「発病から証明書発行医療機関の受診日までの経過」をまとめて一つの欄に記入することです。

20歳前傷病による障害基礎年金を請求する際、病歴・就労状況等申立書の記載を簡素化できるのは、生まれつきの知的障害を除けば、次に該当する場合です。

「初診日の証明手続きの簡素化」を行った場合

初診日の証明手続きの簡素化を行った場合は、病歴・就労状況等申立書の記載を簡素化することができます。

では、「初診日の証明手続きの簡素化」とは、どのような場合に行えるのでしょうか?

初診日の証明を簡素化できる場合

次の①②の条件を満たした場合に、初診日の証明が簡素化されます。

①2番目以降に受診した医療機関の受診日から、「障害認定日」が20歳に達した日以前であることが確認できる場合(具体的には、次のいずれかを満たす場合)

  • 2番目以降に受診した医療機関の受診日が、18歳6か月前である場合
  • 2番目以降に受診した医療機関の受診日が、18歳6か月〜20歳に達した日以前にあり、20歳に達した日以前に、その障害の原因となった傷病が治った(症状が固定した)場合

②その受診日前に厚生年金の加入期間がない場合

簡素化した病歴・就労状況等申立書の記入例(発達障害の場合)

画像の下にテキスト版あり

下記の例では、C市民病院の受診日が18歳6か月より前で、かつ受診状況等証明書の添付があるため、C市民病院より前の生まれてからの経過をまとめて記載(つまり簡素化)することができます。

※「どの期間をまとめて記載すればよいのか」がわかりにくいときは、簡素化せずに通常どおり記載した方が、簡単でわかりやすいように思います。簡素化するために頭を悩ますのでは、本末転倒です。

病歴・就労状況等申立書の記入例(発達障害・簡素化)
日本年金機構かけはし別冊障害年金講座②より抜粋

本人プロフィール

傷病名:アスペルガー症候群

生年月日:平成9年6月29日

初診日:平成16年7月24日(7歳)

20歳到達日:平成29年6月28日(誕生日の前日)

障害年金の請求日:令和3年1月27日(23歳)

アスペルガー症候群の記載欄①

期間以下の期間を1つの欄にまとめて記載できる):

・平成9年6月29日~平成27年7月4日

受診した病院以下の医療機関を1つの欄にまとめて記載できる):

・A医療センター(受診状況等証明書なし

・B病院(受診状況等証明書なし

記載内容以下の内容を1つの欄にまとめて記載できる):

・幼稚園の先生からいつも1人遊びをしていると言われていた。こだわりが強く、洋服もいつも同じものを着たがった。

・平成16年7月24日、小学1年生の時、担任の先生の勧めで市のA医療センターに行き、発達障害と診断された。

・中学生の時、相変わらずこだわりが強かったのでB病院を一度だけ受診した。

・高校3年の4月、他の生徒ともめ、自分の部屋に閉じこもり出てこなくなった。

アスペルガー症候群の記載欄②

期間:平成27年7月5日~平成27年10月26日

受診した病院

・C市民病院 精神科(受診状況等証明書あり

記載内容

・家族が心配して、母と一緒に平成27年7月5日にC市民病院 精神科を受診した。

・C市民病院 精神科でアスペルガー症候群と診断された。受診は7月5日~10月26日まで、月1回の受診。

・高校は3年の2学期から行くようになった。

アスペルガー症候群の記載欄③

期間:平成27年10月27日~平成30年8月15日

受診した病院:受診していない

記載内容

・高校卒業後は進学しなかった。米屋でアルバイトしたが注文の電話を取った時にパニックになり1週間で辞めた。

・退職後はまた自分の部屋に引きこもり、家族との会話もしなくなった。

アスペルガー症候群の記載欄④

期間:平成30年8月15日~令和3年1月27日

受診した病院:Dメンタルクリニック

記載内容

・本人を説得し平成30年8月15日にDメンタルクリニックを受診した。月2回通院している。

・令和1年10月に福祉手帳の交付を受けた。

・令和2年12月から障害者雇用で清掃会社に勤めている。

簡素化した病歴・就労状況等申立書の記入例(うつ病の場合)

画像の下にテキスト版あり

※下記の例では、C病院の受診日が18歳6か月より前で、かつ受診状況等証明書の添付があるため、C病院より前の発病からの経過をまとめて記載(つまり簡素化)することができます。

※「どの期間をまとめて記載すればよいのか」がわかりにくいときは、簡素化せずに通常どおり記載した方が、簡単でわかりやすいように思います。簡素化するために頭を悩ますのでは、本末転倒です。

病歴・就労状況等申立書の記入例(うつ病・簡素化)
日本年金機構かけはし別冊障害年金講座②より抜粋

本人プロフィール

傷病名:うつ病

生年月日:平成10年5月13日

初診日:平成24年9月18日(14歳)

20歳到達日:平成30年5月12日(誕生日の前日)

障害年金の請求日:令和3年1月27日(22歳)

うつ病の記載欄①

期間以下の期間を1つの欄にまとめて記載できる):

・平成24年4月頃~平成25年6月29日

受診した病院以下の医療機関を1つの欄にまとめて記載できる):

・Aメンタルクリニック(受診状況等証明書なし

・B診療所(受診状況等証明書なし

記載内容以下の内容を1つの欄にまとめて記載できる):

・中学2年生になった時、新しいクラスになじめなず、不登校になった。

・病院に受診させようとしたが嫌がり、やっと平成24年9月18日に自宅から離れたAメンタルクリニックを受診した。うつ病と診断された。

・通院が大変になり平成25年5月20日、B診療所(精神科)を紹介され転院した。

・B診療所の先生と合わず2回で受診をやめた。

うつ病の記載欄②

期間:平成25年6月30日~平成29年5月15日

受診した病院

・C病院(受診状況等証明書あり

記載内容

・平成25年6月30日、ネットで探したC病院に受診した。

・月2回、通院している。

・中学は保健室登校して、なんとか卒業した。

・病気があっても受け入れてくれる高校があり入学した。休みがちだったが、夏休みと冬休みに登校して卒業した。

・高校卒業後は就職しないで家にいた。

うつ病の記載欄③

期間:平成29年5月16日~令和2年7月10日

受診した病院:受診していない

記載内容

・調子が良くなり、受診を自己中断した。

・パン屋でアルバイトをした。

・令和1年3月頃から、気分が落ち込み出勤できなくなりアルバイトを辞めた。

うつ病の記載欄④

期間:令和2年7月11日~令和3年1月27日

受診した病院:D病院

記載内容

・生活のために働こうと思ったが、身体が動かずD病院を受診した。月2回、通院している。

・令和2年10月に福祉手帳の交付を受けた。

・令和2年11月から障害者雇用で清掃会社に勤めている。

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