障害年金を自分で請求する手順
この記事の内容
精神障害・発達障害での障害年金をご自分で請求する方向けの、簡単な手順案内です。
必ずこうしなくちゃいけないという決まった手順があるわけではないのですが、ご参考にしてください。
もしも途中で進めなくなってしまった場合、当事務所の「自分で請求サポート」のご利用もご検討ください。
障害年金の受給要件
障害年金の受給要件は、簡単に言ってしまえば次の3つです。
- 初診日の前日時点で年金の納付要件を満たしていること
- 初診日を証明できること
- 障害の状態が認定基準に該当すること
意外と単純ですよね。
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自分で請求する手順
①主治医に相談してみましょう
障害年金には主治医の診断書(障害年金専用の診断書)が必要です。
診断書なしに障害年金を請求することはできません。
ただ、医師には医師のお考え(治療方針)があります。
診断書を書いてもらえるのかどうか、まずは主治医に聞いてみてください。
また、その際、診断書に記載されることになる「障害の原因となった傷病名」についても確認しておくようにしましょう。
「障害の原因となった傷病名」を知ることで、その後の手続きの進め方が変わってくることがあります。
対象外の傷病に注意
ICD-10コードでF4やF6に分類される適応障害、不安障害、強迫性障害、パーソナリティ障害などは、原則として障害年金の対象外です。
それらの傷病名で診断書を作成してもらっても、通常は良い結果にはなりません。
これは過去分の診断書を取得する場合も同様で、当時の診断名を確認したうえで取得しないと、診断書代が無駄になる可能性が高くなります。
知的障害の場合
生まれつきの知的障害が「障害の原因となった傷病名」に記載されるようであれば、発病日と初診日は生年月日になり、障害認定日は20歳になった日(20歳の誕生日の前日)になります。
この場合、初診日証明は不要となり、年金の納付要件も問われず、人によっては障害年金請求がしやすくなります。
一方、遡及請求をするためには20歳前後に受診している必要が生じ、その点では残念な思いをする人もいるかもしれません。
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②年金事務所や市区町村役場に行きましょう
必要な説明を受け、年金の納付状況を確認してもらい、必要書類を受け取ります。
この時点で初診日がはっきりしていると、相談がスムーズに進むでしょう。
初診日の詳しい日付がわからないときは、医療機関に電話で問い合わせれば、ほとんどの場合は教えてくれます。
「障害年金の手続きをしたいのですが、私が初めて受診した日を教えていただけますか?」と聞いてみましょう。
なお、どこの窓口に相談すればよいのかは、次のとおりです。
- 初診日の時点で厚生年金の加入者であれば、年金事務所
- 初診日の時点で国民年金であれば、年金事務所でも市区町村役場でも、どちらでもよい
- 初診日の時点で共済組合の加入者であれば、各共済組合
被保険者記録照会回答票
せっかく年金事務所に行ったのであれば、ついでに「被保険者記録照会回答票」を発行してもらいましょう。
厚生年金の加入歴がわかりますので、職歴を整理しやすくなり、病歴・就労状況等申立書の作成の際にとても役に立ちます。
※ねんきんネットでも確認可能↓
③初診日の証明書類を準備しましょう
年金の納付要件をクリアできたら、次は初診日の証明です。
年金事務所や市区町村役場等で「受診状況等証明書」という書類をもらえますので、それを初診日の医療機関に持参または郵送し、医師に記載してもらいます。
なお、「初診日の医療機関」と「診断書を書いてもらう医療機関」が同一の場合、この「受診状況等証明書」は必要ありません。
その理由は、診断書の記載内容を見れば、その医療機関が初診日の医療機関かどうか判別できるから(診断書が受診状況等証明書の役割を兼ねることができるから)です。
「前医」があるかどうか
受診状況等証明書を取得したら、「前医」の記載の有無について確認しましょう。
以前にも精神科や心療内科を受診していた記載があれば(つまり、前医についての記載があれば)、受診状況等証明書を取得し直す必要が出てきます。
一方、たとえばですが、「××の症状で△△内科を受診し検査をしたが異常なく、精神的な原因を疑い当院を受診した」というような記載であれば、取り直す必要はないものと考えられます。
ただ、これもたとえばですが、「××の症状で△△内科を受診し検査をしたが異常なく、精神疾患の疑いで当院を紹介受診」というような記載であれば、△△内科にて取得し直す必要があるものと思われます。
④診断書の作成依頼のための準備をしましょう
無事に初診日を証明できそうであれば、次は診断書です。
(いきなり診断書を書いてもらってもよいのですが、後になって初診日を証明できないことが分かった場合、せっかくの診断書代が無駄になってしまいます。)
診断書には、「教育歴」、「職歴」、「治療歴」等さまざまな記載欄があります。
事実に沿った診断書を書いてもらうためには、これらについて医師に正しく伝えなくてはなりません。
あらかじめ自分でメモにまとめておき、診断書の依頼時に医師に手渡せば、スムーズな診断書作成に役立つかもしれません。
また、普段の診察で医師に伝えきれていない細かな困りごと、成育歴、生活の状況なども同時にメモにまとめておくとよいでしょう。
あるいは、この時点で「病歴・就労状況等申立書」の下書きを作成してもよいかもしれません。
いずれにせよ、実態に合った診断書を作成してもらうためには、実態を伝えなければなりません。
あらかじめ診断書の各項目に目を通し、これは改めて伝えた方が良いと思うことがあれば、どんどんメモにまとめましょう。
実際にそれを参考にするかどうかは医師の判断ですが、何も伝えないよりは何でもかんでも伝えた方が100倍良いでしょう。
治療歴については、自分が受診してきた各医療機関に電話で問い合わせれば、「その医療機関の最初と最後の受診日」を教えてもらえることが多いです。
これがはっきりしていると、「病歴・就労状況等申立書」も書きやすくなります。
診断書があなたのすべて
障害年金請求は書類審査であり、提出する診断書はあなたそのものです。
診断書の記載内容があなたのすべてであり、それ以上もそれ以下もありません。
「診断書にはこう書いてあるけど、実際には○○なんだ」というのは通用しないのです。
実際に○○であれば、その○○を診断書に反映してもらわなければなりません。
そのため、事前の医師への情報提供が大切になってくるのです。
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⑤診断書を依頼し、発行されたら内容を確認しましょう
障害年金専用の診断書用紙と作成したメモ等を医療機関に持参し、診断書の作成を依頼します。
その際、取得済みの「受診状況等証明書」があれば、そのコピーも添付するとよいでしょう。
診断書が発行されたら内容をよく確認し、事実と異なる点があれば医療機関に確認してみましょう。
医師も多忙ななか作成していますので、記載漏れや日付の記載ミス等、よくあることです。
また、遡及請求をする場合は、障害認定日の頃に受診していた医療機関にも診断書の作成を依頼することになります。詳しくは下記リンクをご参考になさってください。
⑥病歴・就労状況等申立書を作成しましょう
簡単な人にとっては非常に簡単、難しい人にとっては非常に難しいのがこの書類です。
病歴も就労状況もケースバイケース、人それぞれです。よって、その作成の難易度も人それぞれ。
難しいと思ったら年金事務所で聞いてみたり、病院のソーシャルワーカーに聞いてみたり、自分だけで抱え込まないようにしましょう。
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⑦その他の書類をそろえましょう
受診状況等証明書、診断書、病歴・就労状況等申立書などの主要書類がそろったら、年金事務所や市区町村役場等で案内のあった他の必要書類をそろえます。
障害者手帳のコピーや預金通帳のコピー、あるいは戸籍謄本などですね。これは難しくないと思います。
年金請求書については、書き方がわからなければ提出の際に窓口で教えてもらえるはずです。
年金生活者支援給付金の請求書も一緒に提出しますが、これも簡単ですので心配する必要はないでしょう。
⑧提出し、結果を待ちましょう
書類がすべてそろったら、年金事務所や市区町村役場等に提出します。
通常であれば、提出後3か月程度で結果が郵送されてきます。
良い結果になることを願っております。