障害年金の手続きが「めんどくさい」人は受給の可能性が高い?

この記事の内容
手続きさえすれば、年間約80万円(基礎年金2級の場合)がもらえるかもしれない障害年金。
仮に次回更新が3年後だとすれば、1回の手続きでとりあえず約240万円(80万円×3年)の支給が約束されます(一括でもらえるわけではないですが)。
でも…
- めんどくさい…
- やる気にならない…
- 考えただけでイヤになる…
そんなふうに思う人も多いことでしょう。
では、どうすればよいのでしょうか?
面倒であれば、手続きをしないのが一番です。
あなたが手続きをしなくても誰も困りませんし、誰にも迷惑はかかりません。
でも、ちょっと待ってください!
考えようによっては、「めんどくさい」と感じるからこそ、障害年金をもらえる可能性が高いのかもしれませんよ。
「ペースメーカー」や「伴走者」の協力を得て、ぜひゴール地点を目指してください。
手続きさえすればもらえる(かもしれない)障害年金
障害年金をもらうためには、請求の手続きをしなければなりません。
どれほど病状が悪化していても、どれほど障害の状態が重くても、何もしなければ1円たりとももらえません。
なかなか厳しいと感じるでしょうが、現実はそんなもんです。
さらに言えば、請求手続きをする・しない以前に、「障害年金」という制度があること自体あまり教えてもらえません。
親も学校も教えてくれませんし、テレビやYouTubeでCMが流れるわけでもありませんし、すべてのお医者さんが教えてくれるわけでもありません。
障害者週間について
ご存じの方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、世の中には「障害者週間」というものがあります。
期間は、毎年12月3日から12月9日までの一週間です。
せめてこの一週間くらいは、国が障害者関連の制度について周知のためのコマーシャルをどんどん流せばよいような気もします。
まあ、現実にはそうしないわけで、それにはそれなりの理由があるのだろうとは思います。
で、普通の感覚であれば、もらえるものはもらっておこうということで、多少面倒でも請求手続きをするわけです。
お金は、ないよりもあるに越したことはありません。
人間のお金に対する執着心は凄まじいのです。
良い悪いではなく、それが普通なのです。
でも、面倒だという思いが強い人は、お金に対する執着心よりも「めんどくさい」という思いが勝ってしまいます。
なぜなのでしょうか?
おそらくですが、それも障害の一つと言えるのではないでしょうか。
めんどくさいと感じるのも障害
うつ病の場合
うつ病の主な精神症状として、次の3つがあります。
- 関心・興味の減退
- 意欲・気力の減退
- 知的活動能力の減退
…………。
どうでしょうか?
このような症状の強い人が、
- 障害年金制度に関心を持ち
- 必要な情報を集め
- 自分の状態を客観視し
- 自分が認定基準に該当するか考え
- 年金事務所等に出向き
- 説明を受け
- それを理解し
- 考えながら書類をそろえていく
というようなことができそうでしょうか?
…………。
できないですよね?
そりゃできませんよ。
「めんどくさい」と感じるのが当たりまえです。
そして、症状が重ければ重いほど「めんどくさい」と強く感じるのですから、そういう人ほど障害年金との距離がどんどん離れていきます。
つまり、結果として、障害の状態が重い人ほど、激しく「めんどくさい」と感じる人ほど、障害年金は受給できないのです。
ただ、そういう人は障害の状態が重いので(もらえるお金も「面倒だからいらない」と感じるほどに重いので)、手続きさえすればもらえる可能性が高いと言えるのです。
発達障害(ADHD)の場合
ADHDの特性
ADHDの人は、その特性から物事を先延ばしにしてしまう傾向があります。
優先順位をつけて計画的に物事を進めていくのが苦手なのです。
また、いったんは取り組み始めても、ちょっとした問題にぶつかったり他のことに関心が向いたりすると、途中であっさりと投げ出したりしてしまいます。
障害年金の手続きは長期戦
障害年金の手続きは長期戦です。
かなりスムーズに書類を集められたとしても、手続きをしようと決めてから書類を提出するまで、最低2~3か月はかかるでしょう。
ADHDの人にとって、頭の片隅に障害年金のことを留めつつ数か月間を過ごすことは、けっこうな高さのハードルとなります。
さらに、ようやく発行された診断書に修正が必要な箇所があったりとイレギュラーなこともよく起こります。
そうなると、「もうめんどくさい!」となって途中で放り投げてしまったとしても、責めることはできません。
障害の状態が重い人ほど受給できないジレンマ
上記のように、うつ病の人もADHDの人も、障害の状態が重ければ重いほど障害年金の受給から遠ざかっていきます。
本来は、障害の状態が重ければ、当然それだけもらえる可能性が高くなるはずなのです。
でも、実際には、障害の状態が重いばかりに、受給からどんどん遠ざかっていってしまうのです。
もちろん、お金がほしくないわけではないのです。
もらえるものはもらいたいのです。
ただ、その症状や特性のため、請求手続きを完遂することができないのです。
そして、それこそが「障害」なのです。
障害年金の手続きがめんどくさい人へ
めんどくさいと感じる人に必要なもの
障害年金制度には、障害の状態が重い人ほど制度から遠ざかっていくというジレンマがあります。
では、障害年金の手続きが「めんどくさい」と感じる人はどうすればよいのでしょうか?
もうそれは仕方ないこととして、そのまま放っておけばよいのでしょうか?
そうではないですよね。
では、どうすればよいのか。
ここでは、「ペースメーカー」ないし「伴走者」の協力を得ることをオススメします。
ペースメーカーや伴走者
マラソンの場合
まずはペースメーカーについて。
テレビ中継のマラソンの先頭集団をイメージしてもらうとわかりやすいのですが、あれはみんながみんな1位になろうと思って走っているわけではありません。
大きな大会では、ペースメーカー役の選手が先頭集団を引っ張っています。
ライバル同士で最初から最後までけん制し合いながら42.195kmを走ると好記録が出ないので、とりあえずペースメーカー役の選手が先頭集団を引っ張り、同時に有力選手の風除けとなっています。
ペースメーカー役の選手は、選手というより大会スタッフのようなものです。
ペースをつくり、レースをつくり、30キロ地点くらいでその役目を終えて走るのをやめます。
次に、伴走者について。
伴走者は、視覚障害のあるランナーの横で一緒に走る人です。
選手の目となり、方向を伝えたり、障害物を避けたりします。
こちらは、当然と言えば当然ですが、ゴールするまで伴走を続けます。
障害年金の場合
マラソンの例えが長くなってしまいましたが、障害年金の請求手続きがめんどくさい人にとって、ペースメーカーや伴走者の存在が大きな力になるはずです。
マラソンのように途中でペースメーカー役をやめられては困るので最後まで務めてもらうのですが、あとはだいたい同じようなものです。
ペースをつくり、進むべき方向を伝え、風除けとなって、障害年金の手続きを進めていきます。
このような人の協力を得ることができれば、一人で走るよりもゴール地点にたどり着ける可能性は高くなります。
ペースメーカー役は、協力してくれる人ならだれでも構いません。
家族でも大丈夫ですし、病院関係者でも大丈夫ですし、もちろん社労士でも大丈夫です。
まとめ
「障害年金の請求手続きがめんどくさいと感じる人」は、考えようによっては「障害年金をもらえる可能性が高い人」です。
しかし、そこには「障害年金をもらえる可能性が高いからこそ、その請求手続きを完遂できない」というジレンマがあります。
この記事では、そのジレンマを解消するためにはどうすればよいのかについて考えてみました。
一つの方法としては、ペースメーカーや伴走者を見つけ、協力を得ながら手続きを進めることです。
ペースメーカーや伴走者を務めるのは、家族でも病院関係者でも社労士でも構いません。
無理に一人でやろうとせず、誰かの協力を得て、ぜひゴール地点を目指してくださいね。
この記事を書いた人

鈴木雅人
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