うつ病で障害年金請求、初診日は内科?精神科?

この記事の内容

うつ病による最初の症状が身体的なものであり、まず内科を受診したという人も多いことかと思います。

では、もしうつ病で障害年金を請求する場合、初診日はその内科でしょうか?それとも、その後受診した精神科でしょうか?

結論としては、「ケースによるが、精神科が無難」ということになります。

うつ病の初診日は、基本的には、「身体的不調で初めて医療機関を受診した日」ではなく、「精神的不調で初めて医療機関を受診した日」、あるいは、「医療機関で初めて精神的不調を訴えた日」だと考えます。

うつ病の最初の症状が身体的なものだったとき

たとえば、現在「うつ病」でメンタルクリニックに通院しており、障害年金の請求を検討している人がいるとします。

この人が、最初からメンタルクリニックを受診していれば、何も問題ありません。初診日は、初めてメンタルクリニックを受診した日です。

しかし、最初の症状が身体的なものであり、たとえば内科を受診するというのもよくあることです。

この場合、うつ病の初診日はいつになるのでしょうか?内科を受診した日でしょうか?それとも、メンタルクリニックを受診した日でしょうか?

これはなかなか難しい問題で、はっきりとした決まりもなく、明確な線引きができません。

内科等の受診を精神疾患の初診日にすることの難しさ

たとえば、最初の症状が頭痛であり、それによって内科を受診した日を初診日にしようとするのであれば、「頭痛とうつ病に相当因果関係があった」ということを書類上証明しなければなりません。

では、「内科を受診した際の頭痛が、実はうつ病によるものだった」ということに、当時の医師も患者も気づいていなかったとしたら、それを当時の診療録から証明できるでしょうか?

もし、ある程度の期間診察を繰り返すうちに医師が精神疾患の疑いを持ち、患者自身も精神的不調を訴え、そのことが診療録に記載してあれば、可能かもしれません。しかし、そうでない場合、これはなかなかに難しいこととなります。

そして、それが書類上証明できなければ、内科の受診を初診日と認めてもらうことはできず、メンタルクリニックの受診が初診日ということになるわけです。

ある程度の難しさも無理からぬこと

ただ、考えてみれば、内科等の受診が簡単にうつ病の初診日と認められてしまえば、うつ病の初診日は都合よく設定できてしまいます。

たとえば、精神的に不調になれば、脳と体は連動しているので免疫力が下がり、風邪をひきやすくなります。それで副鼻腔炎にでもなり耳鼻科を受診していれば、それだって後々考えてみればうつ病の兆候だったということで、初診日にできてしまうことになります。

また、精神的不調により腰痛になることだってあります。目のかすみが気になることもあるでしょう。その場合、整形外科や眼科の受診をうつ病の初診日にすることもでき、もう何でもありの世界です。

よって、内科等での受診を精神疾患の初診日と認めるかどうかについては、相当因果関係という観点から厳しめの判定になってしまうのも、無理からぬことかもしれません。

まとめ

うつ病で障害年金を請求する際、有利不利がなくどちらでも良いということであれば、「初めて精神科や心療内科を受診した日」を初診日とするのが無難であろうと思います。

つまり、「後々考えてみればあの身体症状はうつ病によるものだった。だから身体的不調で受診した内科が初診日だ」という考え方はせず、精神的な不調で初めて受診した医療機関(通常であれば、精神科か心療内科のはずです)を初診日の医療機関と考えておけば、間違いはないだろうと思います。

うつ病の初診日は、基本的には、「身体的不調で初めて医療機関を受診した日」ではなく、「精神的不調で初めて医療機関を受診した日」、あるいは、「医療機関で初めて精神的不調を訴えた日」だと思うのです。