障害年金の初診日|はっきりわからないけど大丈夫かも?

この記事の内容

障害年金の請求手続きにおける最大の関門は何でしょうか?

それはずばり、「初診日の証明」です(もちろん人それぞれですが…)。

  • 初診日の医療機関ではカルテが廃棄されていた
  • 初診日の医療機関がすでに閉院していた

このような場合、初診日の医療機関から「受診状況等証明書」を取得することができません。

そして仕方なく、2番目に受診した医療機関から「受診状況等証明書」を取得することになります。

そこに前医の初診日がはっきりと記載されていればいいのですが、通常そのようなことはありません。

ただ、たとえばですが、2番目の医療機関の受診状況等証明書に「平成11年頃から気分が落ち込むようになり、平成12年の春頃に□□メンタルクリニック(初診日の医療機関)を受診」というような記載があったとします。

この場合、何月何日かまでははっきり記載されていないのですが、初診日が「平成12年の春頃」というところまでは確認できます。

そこまで確認できれば、平成12年5月31日を初診日として障害年金を請求できるかもしれません。

この記事の内容は、そういうお話です。

初診日がわからない――

初診日について、「○年○月」までは確認できる資料がある。でも、「○日」がわからない――

初診日について、「○年の春頃」までは確認できる資料がある。でも、「○月○日」がわからない――

そんなとき、早々に諦めるのはちょっと待ってください。

それはそれでOKなのかもしれません。

順に見ていきましょう。

引用したページ

この記事で引用したのは、愛媛県精神保健福祉士会のこちらのページです↓

🔗150929_12-2.pdf

全部で96ページありますが、78ページ目からの「別添9 初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いQ&A 平成27年9月 日本年金機構給付企画部」のQ29Q30から引用しています。

初診日が「月」までわかるとき

初診日のはっきりした日付はわからないけど、「月」までは客観的資料により証明できる――

そのような場合の取扱いについては、Q&Aに次のように記載されています。

テキスト版

提出された書類からは初診日が月までしか特定できない場合は月末と見なされるが、請求者が同月内の他の日を初診日と申立てしている場合はどのように取り扱うのか。

当該月の末日を初診日としてください。

なお、当該月に異なる年金制度に加入していた場合、「初診日が一定の期間内にあると確認され、当該期間中、異なる公的年金制度に継続的に加入し、かつ、納付要件を満たしている場合の取扱い」により判断することになります。

要するに…

例外はあるにせよ、月まで確認できたときは、「その月の末日」を初診日とするということですね。

たとえば、客観的資料により「5月」まで確認できれば、5月の末日(つまり5月31日)が初診日になるということです。

初診日が「季節」までわかるとき

初診日のはっきりした日付はわからないけど、「季節」までは客観的資料により証明できる――

そのような場合の取扱いについては、次のように記載されています。

テキスト版

初診日が○年春頃などのように、月まで特定できない場合はいつを初診日とするのか。

各種資料により年及び季節が特定できた場合、「日付が特定されない初診日の取扱い」に準じた取扱いはできないか。

季節まで特定できる場合は「日付が特定されない初診日の取扱い」に準じた取扱いとしてください。

具体的には原則以下のとおりの整理としてください。

  • 冬:2月末
  • 春:5月末
  • 夏:8月末
  • 秋:11月末

なお、年や年齢よりも詳しく特定できない場合は、それだけでは初診日の認定はできませんが、「一定の期間」を確認するための始期及び終期の判断に際しては、原則以下のとおりの整理としてください。

<一定の期間の始期と終期について判断できる場合>

「○年ごろ初診」→始期:○年1月1日、終期:○年12月31日

「○歳ごろ初診」→始期:○歳の誕生日、終期:○+1歳の誕生日の前日

<一定の期間の始期について判断できる場合>

「○年ごろ発病」→始期:○年1月1日

「○歳ごろ発病」→始期:○歳の誕生日

要するに…

客観的資料により「季節」まで確認できれば、

  • 冬なら2月末(2/28 or 2/29)
  • 春なら5月末(5/31)
  • 夏なら8月末(8/31)
  • 冬なら11月末(11/30)

をそれぞれ初診日とするということですね。

初診日が「年」や「年齢」までわかるとき

初診日のはっきりした日付はわからないけど、「年」や「年齢」までは客観的資料により証明できる――

そのような場合の取扱いについては、次のように記載されています(Q30の回答部分からの抜粋です)。

テキスト版

なお、年や年齢よりも詳しく特定できない場合は、それだけでは初診日の認定はできません(以下略)

要するに…

客観的資料により「○年」「○歳」まで確認できたとしても、それだけでは初診日と認定することができないということですね。

たとえば「平成12年頃」や「30歳の頃」という記載がある客観的資料があったとしても、それだけでは初診日と認定されません。

「月」や「季節」までは特定しなくてはならないということです。

まとめ

初診日の証明というと、何年の何月何日まできっちり証明しなければならないようなイメージがあります。

でも、客観的資料により「月」や「季節」が確認できれば、それで初診日証明となる可能性があります

諦めるのはまだ早いかもしれませんよ。

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この記事を書いた人

群馬県前橋市の若宮社会保険労務士事務所(障害年金社労士)
社会保険労務士・精神保健福祉士
鈴木雅人
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