障害年金における社会的治癒(精神疾患)
社会的治癒とは
社会的治癒とは、症状が回復し一旦は社会復帰したものの再発してしまったような場合に、再発時の受診を「初診日」と主張することができるというものです。
メリットとしては、初診日を後ろにずらすことができるという点です。
それにより、もともとの初診日時点で保険料納付要件を満たしていなかったような場合でも、再発時には満たすことができる場合があります。
また、もともとは障害基礎年金しか請求できなかったような場合でも、初診日がずれれば障害厚生年金を請求できるようになる場合もあります。
精神疾患で社会的治癒は認められる?
認められます。
精神疾患は、他の疾患のように検査数値を確認できないため難しい点もありますが、条件が揃えば認められます。
ただし、どのような条件が揃えば認められるのかについては、はっきりとした決まりがあるわけではありません。
どのくらいの期間があれば社会的治癒と認められる?
一般的には、精神疾患で社会的治癒が認められる期間は、4年~5年以上です。
たとえば会社員であれば、その間の給与や賞与、仕事の内容や昇給の有無などが重要になります。
よって、もし社会的治癒の期間が3年程度と短い場合であっても、その間に昇給していたり、責任のある立場に立っていたり、海外勤務をしていたりすると、社会的治癒が認めらる可能性は高くなります。
一方で、8年以上も通常の社会生活を送ることができていたものの、社会的治癒が認められなかったというようなケースもあります。これは、通院を自己判断で中断しており、そのために症状が再発したようなケースです。
つまりはケースバイケースの判断であり、「必ず何年間は必要」「何年間あれば大丈夫」と一概に言うことはできません。参考となる資料により客観的事実を証明し、説得力のある主張をする必要があるのです。
自己判断での通院中断はダメ
上記にもあるように、社会的治癒を主張するためには「医師の判断」による治療の終了である必要があります。自己判断での治療中断では、当然ですが治癒を主張することができません。
通院・服薬していても認められるケースもある
もし社会復帰した後も通院を続けて「治療」を受けていれば、それは社会的治癒とは認められづらいでしょう。
ただし、年に一回程度の経過観察を目的とする通院であったり、予防的治療としての投薬であるような場合は、社会的治癒として認められる場合があります。
では、精神疾患の予防的医療とはどのようなものでしょうか。
カウンセリングのための受診や睡眠導入剤の服薬は予防的医療に該当する傾向がありますが、抗不安薬はケースバイケースで微妙なラインの模様です。抗うつ剤、抗精神病薬、抗てんかん薬は治療目的ですので、予防的医療には入らないでしょう。
社会的治癒と就労
社会的治癒の期間における就労状況は、それが認められるかどうかの重要な要素です。たとえば責任者的な立場で就労していた場合であれば、3年間で認められるようなケースもあります。しかし、短期間のアルバイトを繰り返していたような場合は、認められる可能性は極めて低くなります。
繰り返しになりますが、参考となる資料により客観的事実を証明し、説得力のある主張をする必要があるのです。
まとめ
社会的治癒には、明確な条件があるわけではありません。そのため、ケースバイケースで客観的事実を主張していくようにしましょう。
なお、社会的治癒は、あくまで請求者側が主張するものであり、保険者側から主張するものではありません。
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