障害年金は社労士に依頼すべきか?メリットは?

自分でやるか、社労士か…

障害年金請求は社労士に依頼すべきか否かに関するフローチャート

この記事を書いた人

群馬県前橋市の障害年金専門社労士 鈴木雅人
社会保険労務士・精神保健福祉士
鈴木雅人

精神障害・発達障害専門の障害年金社労士

群馬県前橋市~全国対応

私としては…

少なくとも精神障害(発達障害を含む)で障害年金を請求する場合は、社労士に依頼した方がよいと思います

たしかに、依頼したからといって必ず受給できるわけではありません。

ただ、少なくとも、認定基準を踏まえた一貫性のある請求書類を準備できる可能性は高くなるはずです。

たとえば、うつ病で障害年金を請求する人がいたとします。

そして、その人が、過食嘔吐を繰り返す摂食障害も併発していたとします。

さらに、本人の感覚としては、うつ病そのものよりも摂食障害の症状に苦しんでいたとします。

受診時の話題は摂食障害がメインであり、本人もそれを希望したため、診断書には摂食障害の症状について細かく記載してもらいます。

あわせて、病歴・就労状況等申立書にも摂食障害のつらさを細かく記載します。

では、これらはうつ病の請求書類として十分と言えるでしょうか?

答えは、ノーだと思います。

なぜなら、うつ病による主要障害である「気分の障害」、「意欲・行動の障害」、「思考障害」について触れられておらず、請求傷病ではないはずの摂食障害についてばかり書いてあるからです。

さらに言えば、摂食障害は、そもそも障害年金の対象外のはずです。

うつ病による精神障害で障害年金を請求しているはずなのに、その請求書類でうつ病の症状にあまり触れられていなければ、それは審査する側も支給決定とは言いづらいのではないでしょうか。

うつ病による障害がきちんと記載されていればしかるべき等級で認定されていたかもしれないのに、「ありのまま」を訴えたために的外れな請求書類になってしまう。

社労士に依頼するということは、このような残念な事態を防ぐことにもつながるのです。

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【Q1】社労士に依頼しないとダメですか?

【A】依頼しなくても受給できます。

障害年金の申請は、ご自身でおこなっても、社労士等の代理人に依頼しても、どちらでもご本人の自由です。

社労士に依頼せずとも、ご自身で手続きを行い受給されている方もいらっしゃいます。また、一人では難しくても、病院の相談員さんやご家族等の支援を得て、社労士に依頼せずに受給を決めている方もいらっしゃいます。これは、場合によっては最良の方法かもしれませんし、それが可能なのであれば、そうするに越したことはありません。

とは言うものの、すべての方々が、同じ条件で同じように申請書類をそろえられるわけではありません。それは、障害の程度が千差万別であることや、得られる支援に人それぞれ違いがあることを考えても当然のことです。

Q2】社労士に依頼した方が良いのはどんな人ですか?

【A】次の項目に当てはまるような方には、社労士によるサポートをオススメします。

うつ病などの精神障害なら

たとえば、

  • 外出できない、外出したくない
  • 他人と会うのが怖い、会いたくない
  • 年金事務所や市役所等で説明を聞いても、内容が頭に入ってこない
  • とにかくよくわからないから、誰かに全部やってほしい
  • 病状が悪く気力がない、年金の手続きとかそういう面倒なことは一切考えたくない

しかも、

  • 通院先に相談員がいない(障害年金の手続きをサポートしてくれる人がいない)
  • 家族によるサポートが難しい(平日に会社を休めないため、年金事務所に行けない等)

ASDやADHDなどの発達障害なら

たとえば、

  • 年金事務所や市役所等で説明を聞くのが苦手
  • ついほったらかしにしてしてしまうため、手続きを完結できそうにない
  • 細かい部分にこだわりすぎてしまうため、手続きを完結できそうにない
  • 文章を書くのが苦手で、出生時からの申立書を書けそうにない
  • うつ等の症状があり、外出できない(外出したくない)
  • うつ等の症状があり、手続きするだけの気力がない

しかも、

  • 通院先に相談員がいない(障害年金の手続きをサポートしてくれる人がいない)
  • 家族によるサポートが難しい(平日に会社を休めないため、年金事務所に行けない等)

参考記事(当ホームページ内の記事)

【Q3】精神障害や発達障害での障害年金申請、そのベストタイミングは?

【A】いちばん状態が悪いときです

精神障害や発達障害で障害年金を申請する際、一番適した時期はいつでしょうか?

それは、いちばん状態が悪い時期、あるいは、症状が悪化傾向にある時期だと思います。なぜなら、当然といえば当然ですが、障害の状態が悪ければ悪いほど、受給しやすくなるからです。

もちろん、その一時期の状態のみが診断書に反映されるわけではありません。しかし、「回復傾向にある時期に書いてもらう診断書」と「悪化傾向にある時期に書いてもらう診断書」、どちらが受給しやすい診断書になるかは、当然に後者であろうと思います。

では、素朴な疑問として、そのような悪化傾向にある時期、あるいは最悪の状態にある時期に、ご自身で年金事務所や市役所等に行き、必要書類をそろえ、提出までこぎつけることができるでしょうか?

おそらく、障害年金の認定基準に該当するような方には、難しいだろうと思います。そして、ここが障害年金申請の難しいところで、同時に、社労士等の代理人が必要とされるところだと思うのです。

Q4】社労士に依頼すれば必ず受給できますか?

【A】必ず受給できるわけではありません。

障害年金の受給要件を満たしていない方は、自分で申請しても、社労士に申請代行を依頼しても、受給できません。

具体的には、初診日を証明できなければ受給できませんし、年金保険料の納付要件を満たしていなければ受給できませんし、障害の状態が認定基準に満たなければ、受給できません。

では、社労士に依頼するメリットは?

必ず受給できるわけではありませんが、

自分で申請する場合と比べ、手続きがスムーズに進みやすいということです。

手続きがスムーズに進めば、その分もらえる年金額が多くなる場合がありますし(早く申請するので早くもらえる)、もやもやとした感覚に悩む時間も短くなります。

Q5】社労士に依頼すれば初診日を変えられますか?

【A】変えられません。

社労士に依頼したとしても、初診日は変えられません。

ただし、ご自身で初診日だと思っていた日が、実は初診日ではなかったというのはあり得ることです。

たとえば、次のようなケースでは、初診日が前後にずれることになります。

  • 初診日だと思っていた日以前に、請求傷病と関係のある通院歴があった
  • 初診日だと思っていた日は、請求傷病とは関係のない受診だった

では、社労士に依頼するメリットは?

初診日は変えられませんが、

手遅れになる前に、誤りに気づくことができるということです。

Q6】社労士に依頼すれば症状が重い診断書を書いてもらえますか?

【A】書いてもらえません。

当然ですが、社労士に依頼したとしても、実際と異なる症状の診断書は書いてもらえません。

また、当事務所では、作成された診断書について、「この診断書では年金がもらえないから、症状をもっと重く書いて下さい」というお願いはしていません。

では、社労士に依頼するメリットは?

現在の病状や障害の状態を医師に正確に伝えるためのお手伝いはできると考えています。

たとえば、精神障害で障害年金を申請する場合、診断書には「日常生活にどの程度の支障があるか」についての記載欄があります。
ただ、食事や掃除、入浴などの日常生活状況について(それも、一人暮らしを想定した際の支障について)、普段の診察で医師に伝えるような機会はほとんどないのではないでしょうか。

その点、社労士に依頼すれば、ヒアリングをもとに日常生活状況を文書にまとめ、あくまで参考資料としてですが、医師に手渡していただくことが可能です。

Q7】結局、社労士に依頼すべきなのでしょうか?

【A】ご本人の自由です。迷ったら問い合わせだけでも。

この記事の最初にも書いたように、社労士に依頼するかどうかは「ご本人の自由」です。依頼したいと思えば依頼すればよいですし、「信用できない。絶対に依頼しない。」と思えば依頼しなければよいのです。

インターネットの記事やSNSを見ているとわかりますが、社労士による障害年金の請求代行については、様々な立場の人が様々な考え方を持っています。実際、あまり良いイメージを持っていない方々がいらっしゃるのも事実だと思います。

その一方、ご依頼をいただき無事に受給が決定した方から、「ありがとう」の言葉をいただけるのも事実です。そのようなとき、「こちらこそ、ありがとうございます」と頭の下がる思いがします。

また、これも繰り返しになりますが、障害の状態を含め、状況は人それぞれで千差万別です。周囲のサポートがなくともご自身で手続きをして受給できる方もいらっしゃいますし、まったく周囲のサポートを得られそうにない方もいらっしゃいます。そして、サポートが得られないわけではないけれど、社労士に依頼したいという方も、もちろんいらっしゃいます。ありがたいことです。

いずれにせよ、何が良くて何がダメということはありません。もし、社労士への依頼を迷うようであれば、問い合わせだけでもしてみてはいかがでしょうか?

なお、社労士へ依頼するとなれば、ご自身の病歴等について、社労士に打ち明けていただくことになります。もちろん、他人に打ち明けるには抵抗があるエピソードもあるでしょう。それを打ち明けてもよさそうな人かどうか、難しいかもしれませんが、問い合わせをしてみた感じでわかることもあるかと思います。

問い合わせ時の回答によっては、「依頼してみようかな」と思うかもしれませんし、「やっぱり自分でやってみよう」と思うかもしれません。それは、実際に問い合わせてみないとわからないことです。

軽い気持ちで、なんとなく良さそうな社労士事務所に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

【おまけ1】社労士に問い合わせれば、何でもすぐに詳しく教えてもらえますか?

【A】社労士事務所の特色によります。

もちろん、どのような問い合わせに対しても、すぐに詳しく教えてくれる社労士事務所がほとんどだと思います。特に、経験年数が長く、実績の多い社労士先生は、どのような質問にも的確に回答してくださるでしょう。
社労士事務所を選ぶ際には、ホームページの内容に加え、問い合わせた際の対応を基準にしてみるのもよいかもしれません。

さて、当事務所は、精神障害・発達障害を専門としております。そのため、身体障害や内部障害(内科系の疾患)に関するご質問については、何でも即答できるとは言えないのが実情です。申し訳ありません。

ただ、その代わりと言ってはなんですが、精神障害や発達障害のある人の話を「聞く(聴く)」ことに関しては、手前味噌ながら一日の長があると思っています。

そのため、少なくとも当事務所に関しては、問い合わせ時やヒアリング時に、日頃の愚痴や恨みつらみを吐き出していただいても一向に構いません。吐き出すことでほんの少しでも気持ちが軽くなっていただければ、話して良かったと思っていただければ、こちらとしても嬉しく思います。

【おまけ2】社労士に依頼することのデメリットは?

【A】お金がかかります。

社労士に依頼することのデメリットはただ一つ、「お金がかかる」ということです。

ただ、多くの社労士事務所は「受給できたときだけ」報酬が発生するという料金体系ですし、それも、初回の受給額のなかから支払うことのできる金額です。

たしかに、初回に受給した年金は目減りしてしまうかもしれませんが、当然、年金はその後も支給され続けるわけです。それに、年金が支給されるたびに支払う必要はないわけで、1回だけ支払う買い切り型であることを考えれば、不支給になって後悔するよりは依頼してしまった方が、考えようによっては賢明なような気もします。

結局、自分で手続きをしようが社労士に依頼しようが、不支給であれば(診断書代等は別として)お金はかからないのですから。

なお、これは、もしも不支給であったときのリスクを社労士側が負っている(不支給であれば、社労士はタダ働きになる)ということで、その分、支給が決まったときの報酬は高額になる傾向にあります。

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