障害年金は社労士に依頼しましょう|精神障害・発達障害

この記事の内容
精神障害(発達障害を含む)で障害年金を請求する場合は、社労士に依頼した方がよいと思います。
たしかに、依頼したからといって必ず受給できるわけではありません。
ただ、少なくとも、認定基準を踏まえた一貫性のある請求書類を準備できる可能性は高くなるはずです。

鈴木雅人
障害年金は社労士に依頼すべきでしょうか?

依頼しなくても受給できます
障害年金の請求は、ご自身でおこなっても、社労士等の代理人に依頼しても、どちらでもご本人の自由です。
社労士に依頼せずとも、ご自身で手続きを行い受給されている方もいらっしゃいます。
また、一人では難しくても、病院の相談員さんやご家族等の支援を得て、社労士に依頼せずに受給を決めている方もいらっしゃいます。
これは、場合によっては最良の方法かもしれませんし、それが可能なのであれば、そうするに越したことはありません。
とは言うものの…
とは言うものの、すべての人が同じ条件で同じように請求書類をそろえられるわけではありません。
それは、障害の程度が千差万別であることや、得られる支援に人それぞれ違いがあることを考えても当然のことです。
社労士に依頼した方が良いのはどんな人ですか?

次の項目に当てはまるような方には、社労士によるサポートをオススメします。
うつ病などの精神障害なら
たとえば、
- 外出できない、外出したくない
- 他人と会うのが怖い、会いたくない
- 年金事務所や市役所等で説明を聞いても、内容が頭に入ってこない
- とにかくよくわからないから、誰かに全部やってほしい
- 病状が悪く気力がない、年金の手続きとかそういう面倒なことは一切考えたくない
しかも、
- 通院先に相談員がいない(障害年金の手続きをサポートしてくれる人がいない)
- 家族によるサポートが難しい(平日に会社を休めないため、年金事務所に行けない等)
ASDやADHDなどの発達障害なら
たとえば、
- 年金事務所や市役所等で説明を聞くのが苦手
- ついほったらかしにしてしてしまうため、手続きを完結できそうにない
- 細かい部分にこだわりすぎてしまうため、手続きを完結できそうにない
- 文章を書くのが苦手で、出生時からの申立書を書けそうにない
- うつ等の症状があり、外出できない(外出したくない)
- うつ等の症状があり、手続きするだけの気力がない
しかも、
- 通院先に相談員がいない(障害年金の手続きをサポートしてくれる人がいない)
- 家族によるサポートが難しい(平日に会社を休めないため、年金事務所に行けない等)
精神障害や発達障害での障害年金請求、そのベストタイミングは?

いちばん状態が悪いとき、または悪化傾向にあるときです
精神障害や発達障害で障害年金を請求する際、いちばん適した時期はいつでしょうか?
それは、いちばん状態が悪い時期、あるいは、症状が悪化傾向にある時期だと思います。
なぜなら、当然といえば当然ですが、障害の状態が悪ければ悪いほど、受給しやすくなるからです。
タイミングが難しい?
もちろん、その一時期の状態のみが診断書に反映されるわけではありません。
発病からの経過も重要ですし、予後も重要です。
しかし、「回復傾向にある時期に書いてもらう診断書」と「悪化傾向にある時期に書いてもらう診断書」、どちらが受給しやすい診断書になるかは、当然に後者であろうと思います。
状態が悪ければ手続きできない?
では、素朴な疑問として、そのような悪化傾向にある時期、あるいは最悪の状態にある時期に、ご自身で年金事務所や市役所等に行き、必要書類をそろえ、提出までこぎつけることができるでしょうか?
おそらく、障害年金の認定基準に該当するような方には、難しいだろうと思います。
そして、ここが障害年金請求の難しいところであり、社労士等の代理人が必要とされるところだと思うのです。
社労士に依頼すれば必ず受給できますか?

必ず受給できるわけではありません
障害年金の受給要件を満たしていない方は、たとえ社労士に請求代行を依頼しても受給できません。
つまり、初診日を証明できなければ受給できませんし、初診日の前日時点で年金保険料の納付要件を満たしていなければ受給できませんし、障害の状態が認定基準に満たなければ受給できません。
では、社労士に依頼するメリットは?
必ず受給できるわけではありませんが、「自分で請求する場合と比べ、手続きがスムーズに進みやすい」ということです。
手続きがスムーズに進めば、その分早く支給開始となり、結果的にもらえる年金額が多くなる場合があります。
報酬の支払いが必要だけど…
もし、自分で手続きをした場合よりも早く支給開始となれば、その早く支給された分を社労士への報酬にあてることができます。
つまり、たとえばの話ですが、自分で手続きをした場合は10月分からの支給、社労士に依頼した場合は2か月早い8月分からの支給だとしましょう。
その場合、早く受給できた2か月分を社労士への報酬にあてれば、社労士に依頼したにもかかわらず自分で手続きをした場合と同じ10月分からの受給と考えることができます。
そうなると、自分で手続きをせずに済んだ分、社労士に依頼した方がお得になるというわけです。
社労士に依頼すれば初診日を変えられますか?

変えられません
社労士に依頼したとしても、初診日は変えられません。
ただ、間違いに気づくことはできるかもしれません。
ご自身で初診日だと思っていた日が、実は初診日ではなかったというのはあり得ることです。
たとえば、次のようなケースでは、初診日が前後にずれることになります。
- 初診日だと思っていた日以前に、請求傷病と関係のある通院歴があった
- 初診日だと思っていた日は、請求傷病とは関係のない受診だった
つまり、手遅れになる前に、誤りに気づくことができるかもしれないということです。
社労士に依頼すれば症状が重い診断書を書いてもらえますか?

書いてもらえません
当然ですが、社労士に依頼したとしても、実際と異なる症状の診断書は書いてもらえません。
また、少なくとも当事務所では、作成された診断書について「この診断書では年金がもらえないから、症状をもっと重く書いて下さい」というお願いはしていません。
必要な情報を伝えるお手伝いはできる
社労士に依頼したところで重い診断書にはなりませんが、これまでの生活歴や現在の病状、障害の状態などを医師に伝えるためのお手伝いはできると考えています。
たとえば、精神障害で障害年金を請求する場合、診断書には「日常生活にどの程度の支障があるか」についての記載欄があります。
ただ、食事や掃除、金銭管理や買い物などの日常生活状況について、普段の診察で医師に伝えるような機会はほとんどないのではないでしょうか。
その点、社労士に依頼すれば、ヒアリングをもとに日常生活状況を文書にまとめ、あくまで参考資料としてですが、医師に手渡していただくことが可能です。
結局、社労士に依頼すべきなのでしょうか?

ご本人の自由です
この記事の最初にも書いたように、社労士に依頼するかどうかはご本人の自由です。
依頼したいと思えば依頼すればよいですし、「信用できない」、「お金の無駄」、「絶対に依頼しない」と思えば依頼しなければよいのです。
障害年金社労士について
インターネットの記事やSNSを見ているとわかりますが、社労士による障害年金の請求代行については、様々な立場の人が様々な考え方を持っています。
実際、あまり良いイメージを持っていない方々がいらっしゃるのも事実だと思います。
その一方、ご依頼をいただき無事に受給が決定した方から、「ありがとう」の言葉をいただけるのも事実です。
そのようなとき、「こちらこそ、ありがとうございます」と頭の下がる思いがいたします。
状況はひとそれぞれ
また、これも繰り返しになりますが、障害の状態を含め、状況は人それぞれで千差万別です。
周囲のサポートがなくともご自身で手続きをして受給できる方もいらっしゃいますし、まったく周囲のサポートを得られそうにない方もいらっしゃいます。
そして、サポートが得られないわけではないけれど、社労士に依頼したいという方も、もちろんいらっしゃいます。
いずれにせよ、何が良くて何がダメということはありません。
迷ったら問い合わせだけでも
もし、社労士への依頼を迷うようであれば、問い合わせだけでもしてみてはいかがでしょうか?
問い合わせ時の回答によっては、「依頼してみようかな」と思うかもしれませんし、「やっぱり自分でやってみよう」と思うかもしれません。
それは、実際に問い合わせてみないとわからないことです。
軽い気持ちで、なんとなく良さそうな社労士事務所に問い合わせてみてはいかがでしょうか?
問い合わせてわかることもある
なお、社労士へ依頼するとなれば、ご自身の病歴等について、社労士に打ち明けていただくことになります。
もちろん、他人に打ち明けるには抵抗があるエピソードもあるでしょう。
それを打ち明けてもよさそうな人かどうか、難しいかもしれませんが、問い合わせをしてみた感じでわかることもあるかと思います。
社労士事務所を選ぶ際には、ホームページの内容に加え、問い合わせた際の対応を基準にしてみるのもよいかもしれません。
是非、お気軽に問い合わせをなさってみてください。
社労士に問い合わせれば、何でもすぐに詳しく教えてもらえますか?

ケースバイケースです
もちろん、どのような問い合わせに対しても、すぐに詳しく教えてくれる社労士事務所がほとんどだと思います。
特に、経験年数が長く、実績の多い社労士先生は、どのような質問にも的確に回答してくださるでしょう。
若宮社労士の場合
さて、当事務所は、精神障害・発達障害を専門としております。
そのため、身体障害や内部障害(内科系の疾患)に関するご質問については、何でも即答できるとは言えないのが実情です。申し訳ありません。
ただ、その代わりと言ってはなんですが、精神障害や発達障害のある人の話を「聞く(聴く)」ことに関しては、手前味噌ながら一日の長があると思っています。
お話をお聞きし、簡単にお答えできるようなことであれば、もったいつけずにお答えいたします。
もし納得のいく回答が得られなかったらスミマセン……
社労士に依頼することのデメリットは?

お金がかかります
社労士に依頼することの最大にして唯一のデメリット、それは「お金がかかる」ということです。
不支給ならお金はかからない
社労士に依頼するとお金がかかりますが、多くの社労士事務所は「受給できたときだけ」報酬が発生するという料金体系です。
また、その金額は、初回の受給額のなかから支払うことのできる金額です。
たしかに、初回に受給した年金は目減りしてしまうかもしれませんが、当然、年金はその後も支給され続けるわけです。
それに、年金が支給されるたびに支払う必要はないわけで、1回だけ支払う買い切り型であることを考えれば、不支給になって後悔するよりは依頼してしまった方が、考えようによっては賢明なような気もします。
結局、自分で手続きをしようが社労士に依頼しようが、不支給であれば(診断書代等は別として)お金はかからないのです。
まとめ

一貫性のある書類を提出しよう
少なくとも精神障害(発達障害を含む)で障害年金を請求する場合は、社労士に依頼した方がよいと思います。
たしかに、依頼したからといって必ず受給できるわけではありません。
ただ、少なくとも、認定基準を踏まえた一貫性のある請求書類を準備できる可能性は高くなるはずです。
請求傷病「うつ病」の例
たとえば、うつ病で障害年金を請求する人がいたとします。
診断書の「①障害の原因となった傷病名」には、「うつ病」のみ記載されています。
そして、その人が、過食嘔吐を繰り返す摂食障害も併発していたとします。
さらに、本人の感覚としては、うつ病そのものよりも摂食障害の症状に苦しんでいたとします。
受診時の話題は摂食障害がメインであり、本人もそれを希望したため、診断書には摂食障害の症状について細かく記載してもらいます。
あわせて、病歴・就労状況等申立書にも摂食障害のつらさを細かく記載します。
では、これらはうつ病の請求書類として十分と言えるでしょうか?
うつ病ならうつ病らしい書類を
上記の答えは、ノーだと思います。
なぜなら、うつ病による主要障害である「気分の障害」、「意欲・行動の障害」、「思考障害」について触れられておらず、請求傷病ではないはずの摂食障害についてばかり書いてあるからです。
さらに言えば、摂食障害は、そもそも障害年金の対象外(原則)のはずです。
うつ病による精神障害で障害年金を請求しているはずなのに、その請求書類でうつ病の症状にあまり触れられておらず、対象外の病気のことばかりが書いてあれば、それは審査する側も支給決定とは言いづらいのではないでしょうか。
うつ病による障害がきちんと記載されていればしかるべき等級で認定されていたかもしれないのに、自分の感覚だけで「ありのまま」を訴えたために的外れな請求書類になってしまう……
社労士に依頼するということは、このような残念な事態を防ぐことにもつながるのです。
社労士に依頼する/しないの判定フロー


この記事を書いた人

鈴木雅人
事務所名 | 若宮社会保険労務士事務所 |
代表者 | 鈴木雅人 |
所在地 | 〒371-0017 群馬県前橋市日吉町4-14-7 |
電話番号 | 080-7712-2518 |
メール | info@wakamiya-sr.com |
定休日 | 不定休 |
対応地域 | 全国 |
対応方法 | メール/電話/郵送 |