亡くなった人の障害年金を請求する
この記事の内容
この記事では、未支給年金の取扱いについて説明をしています。
年金は一身専属権ですが、すでに発生した権利については、未支給年金として一定範囲の遺族に請求が認められています。
遺族の範囲、障害厚生年金の請求と遺族厚生年金の関係などについて、ご紹介します。
未支給の障害年金を遺族が請求できる
障害年金の受給権者が亡くなった場合に、その亡くなった人が本来受け取るはずだった給付で未支給のものがあるときは、一定の範囲内の遺族による請求が可能です。
受給中に亡くなった場合には、亡くなった月分までの年金を請求することができますし、受給権者がそもそも請求しないまま亡くなったような場合でも、一定の範囲内の遺族による請求が可能となっています。
請求できる遺族の範囲
未支給の給付を受けることができる遺族は、亡くなった人の「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、またはこれらの人以外の三親等内の親族」であって、なおかつ亡くなった本人の死亡当時、本人と生計を同じくしていた人です。
なお、給付を受ける順位は、上記の順番の通りです。
必要な手続き
「受給権者死亡届(報告書)」と「未支給年金・未支払給付金請求書」を年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
そのほか、亡くなった方の年金証書等の添付書類が必要になりますので、詳しくは下記の日本年金機構のページを参照して下さい。
▶ 年金を受けている方が亡くなったとき|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
事後重症請求はできない
受給権のある人が障害年金の請求をする前に亡くなった場合、遺族による請求方法は「障害認定日による請求」です。事後重症請求は認められていません。
遺族厚生年金の受給のために
障害厚生年金の請求手続きをする前に亡くなった人に関して、遺族が請求することによって「遺族厚生年金」の受給につながるケースがあります。
遺族厚生年金の受給権者については、厚生年金保険法で次のように定められています。
第五十八条 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。ただし、第一号又は第二号に該当する場合にあつては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
一 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者であつて、行方不明となつた当時被保険者であつたものを含む。)が、死亡したとき。
二 被保険者であつた者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であつた間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して五年を経過する日前に死亡したとき。
三 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
四 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上である者が、死亡したとき
厚生年金保険法 第五十八条
もし、亡くなった本人が「一」から「四」のどれにも該当しない場合、残された遺族は遺族厚生年金の受給権者になることができません。
ただし「三」については、亡くなった後に、遺族による障害厚生年金の請求が可能です。
遺族の請求により障害厚生年金の1級または2級に該当すれば、それをもって亡くなった本人は「三」を満たすこととなり、遺族は遺族厚生年金の受給権者となれる可能性があるのです。
まとめ
年金は、受給権者本人が亡くなった後でも、遺族による請求手続きが認められています。
請求すべきは請求し、受給漏れのないようにしましょう。