障害年金の初診日証明|カルテなし・閉院の場合の対処法

この記事の内容
障害年金請求の最初にして最大の難関、それが「初診日証明」です。
- 初診日のカルテがすでに廃棄されている
- 閉院により初診日のカルテがない
といった場合、障害年金請求の難易度はグンと上がってしまいます。
では、どうすればよいのでしょうか?
この記事では、「初診日の医療機関で受診状況等証明書を取得できない場合にどうすればよいのか」について、公開されている「初診日証明の審査フロー」に沿って解説しています。
なお、この記事で一番お伝えしたいことは、「初診日を証明したいがカルテがない場合、5年以上前に作成された診断書やカルテに初診日が記載されていないか確認してみましょう」ということです。
まず確認してください
初診日の医療機関のカルテが廃棄されていたり、あるいはすでに閉院していたとしても、すぐに諦める必要はありません。
特に重要なのは、
- 5年以上前のカルテ
- 5年以上前に作成された障害者手帳用の診断書
- 5年以上前に作成された自立支援医療の診断書
などに初診日が記載されていないか確認することです。
実際、これらの資料に初診日が記載されており、それによって初診日が認められたケースもあります。
なぜ「5年以上前」?
厚労省通知では、「請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)」に初診日の記載がある場合、初診日を認めることができるとされています。
では、なぜ「5年以上前」なのでしょうか?
推測ですが、次のような背景があるものと考えられます。
- 障害年金請求よりかなり前の時点で医療機関側に初診日に関する情報が記録されていたことになるため、信用性の高い資料として扱われやすい
- カルテの法定保存期間が5年である
初診日の審査の流れ
審査フローは公開されている
初診日証明の審査フローは公開されています。
下記フローをご覧ください。
初診日証明の審査フロー

一定の期間要件の確認フロー

※上記の図は、下記リンク先PDFの40枚目から抜粋し、着色したものです。
初診日証明の方法と手順
審査フローに沿ってやっていこう
上記のとおり「初診日証明の審査フロー」は公開されています。
よって、初診日証明は、このフローに沿って記録を確認していけばよいことになります。
以下、フローに沿って見ていきましょう。
①初診時の病院の医師の証明により初診年月日が確認できるか?
これが一番オーソドックスな初診日証明の方法です。
「初診時の病院の医師の証明」とは、つまり「受診状況等証明書」や「診断書」です。
「初診日の医療機関」と「診断書を作成してもらう医療機関」が異なれば受診状況等証明書が必要ですし、同一であれば基本的に受診状況等証明書は不要です。
初診日の医療機関に当時の診療録が残っていれば、それをもとに受診状況等証明書や診断書を書いてもらえばいいだけです。
書いてもらえれば(つまり、医師が証明してくれれば)、審査側は当然に初診年月日を確認できることになります。
では、ここからが本題となりますが、カルテの廃棄や閉院等の理由により書いてもらうことができない場合、次善策として何を確認すればよいのでしょうか?
②請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)に本人申立ての初診日が記載されており、それを基に作成された資料があるか?
5年以上前に医療機関が作成した資料が手元にあるか?
カルテの廃棄や閉院等の理由により初診日証明ができない場合、次にやるべきことは何でしょうか?
答えはフローに記載のとおりで、つまり、
請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)に本人申立ての初診日が記載されており、それを基に作成された資料があるか?
を確認することです。
なぜなら、「請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)に請求者申立ての初診日が記載されている場合には、初診日と認めることができる」からです。
たとえば
たとえば、5年以上前に書いてもらった障害者手帳用の診断書のコピーが手元に残っていたとしましょう。
そして、その診断書に、閉院した医療機関の初診日が書いてあったとしましょう。
その場合、その手帳用の診断書のコピーが初診日証明のための重要な資料となります。
閉院した医療機関の初診日については、「xx年xx月xx日」と具体的に書いてあることも稀にありますが(実際にそのようなケースもありました)、
- xx年xx月頃
- xx年夏頃
- 中学2年生の頃
というような記載がされていることもあるでしょう。
そこまで記載されていれば、初診日証明はかなり前進です。
そのような資料が手元に残っていないか、ぜひ確認してみてください。
5年以上前の資料が手元にない場合、カルテを確認してもらう
上記のように5年以上前の診断書のコピーが手元にあれば、それは当然「5年以上前のカルテ等をもとに作成された診断書」ということになります。
ですが、都合よく手元に資料が残っている人はそう多くはないでしょう。
手元に資料がない場合は、これまで受診してきた医療機関に問い合わせ、各医療機関のカルテに「カルテが廃棄された(閉院した)医療機関の受診に関する記載があるかないか」を確認してみましょう。
ぜひ確認してみてください
各医療機関を初めて受診した日には、一般的にこれまでの病歴や治療歴(受診歴)を医療機関側に伝えるはずです。
そして、過去の受診歴を話していれば、「カルテが廃棄された(閉院した)医療機関の初診日」についても何らかの話をしているはずです。
話していれば、おそらくは何らかの記載がカルテに残っているはずです。
その「証明したい初診日に関する何らかの記載が残っているカルテ」が「5年以上前のもの」であれば、カルテの写しを取得して提出することで初診日証明の有力な資料となります。
5年以上前のものではないが、医療機関が作成した資料が手元にある場合
障害者手帳の診断書のコピーが手元にあることはあるけど、5年以上前のものではない――
そのようなケースもあるでしょう。
そのようなときはどうすればよいのでしょうか?
厚労省の通知には、次のように記載されています。
請求の5年以上前ではないが相当程度前である場合については、請求者申立ての初診日について参考となる他の資料とあわせて初診日を認めることができることとする。
なお、この場合の「参考となる他の資料」とは次のようなものです。
- 診察券
- 入院記録
- その他、請求者の申立て以外の記録を根拠として初診日を推定することが可能となる資料(下記「初診日証明のための資料」も参照)
※「請求者または請求者の家族等の申立てにもとづく第三者証明」は、「参考となる他の資料」に含まれません。
※細かい点は気にせず、「関係のありそうな資料はとにかく何でも集めてみる」ことが重要です。
調剤薬局に記録が残っていることもある
医療機関のカルテは廃棄されていても、薬局側に処方履歴が残っていることがあります。
医療機関だけではなく、薬局にも確認をしてみましょう。
③複数の資料により、本人申立ての初診日が正しいと合理的に判断できるか?
とにかく何でも集めてみることが大切
これは、実際には上記の②と並行して確認していくことになるかと思いますが、「とにかく初診日の証明に役立ちそうな資料を片っ端から集めてみる」ということです。
繰り返しになりますが、細かい点は気にせず、「関係のありそうな資料はとにかく何でも集めてみる」ことが重要です。
初診日の証明に役立ちそうな資料とは、たとえば次のようなものです。提出してはいけない資料というのはありませんので、集められるだけ集めてみましょう。
初診日証明のための資料
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 自立支援医療診断書(精神)
- 難病医療費助成申請時の臨床調査個人票
- 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 休職時に提出した診断書
- 健康保険の給付記録(レセプトも含む)
- 傷病手当金支給申請書
- 入院記録、診療受付簿
- 前の医療機関からの紹介状
- 医療情報サマリー、入院治療計画書など
- 母子健康手帳
- お薬手帳・糖尿病手帳・領収書・診察券(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)
- 小学校・中学校等の健康診断の記録や成績通知表
- 盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書
- 交通事故証明書
- 労災の事故証明書
- 救急搬送された場合の救急傷病者搬送証明書
- 事故が原因であれば、事故が掲載されている新聞記事など
- 第三者証明
診察券等における初診日確認の取扱いについて
厚労省の通知には、次のように記載されています。
診察券や医療機関が管理する入院記録等により確認された初診日及び受診した診療科については、請求傷病での受診である可能性が高いと判断できる診療科(精神科など)である場合には、それらの参考資料により初診日を認めることができる。
また、診察券や入院記録等だけでは請求傷病での受診である可能性が高いと判断できない診療科(内科など)の場合であっても、診察券や入院記録等で初診日及び受診した診療科が確認できたときは、請求者申立ての初診日について参考となる他の資料とあわせて初診日を認めることができる。
ただし、他の傷病による受診であると明らかに推認できる場合は認めないこととする。
つまりどういうこと?
要するに、請求傷病がうつ病などの精神疾患であれば、
- 精神科の診察券で初診日がわかればそれでOK
- 内科など他科の診察券であれば、それだけでは精神疾患の初診日とは判断できない(他の資料が必要)
ということですね。
④様々な資料や、傷病の性質に関する医学的判断等を総合的に勘案して、本人申立ての初診日が正しいと合理的に推定できるか?
これは、上記②③の資料だけでは初診日を認めてもらえないとき、
- 上記②③の資料
- 診断書の記載内容
- 2番目以降の医療機関の受診状況等証明書の記載内容
- 病歴・就労状況等申立書の記載内容
- 認定医の医学的判断
などから総合的に判断して、初診日が認められるかどうかということです。
②③の資料をできるだけ集めてみることがいかに重要かがわかりますね。
そして、この④まで確認が進んでもなお初診日が特定できない場合、次の「一定の期間要件の確認フロー」へと進むことになります。
⑤一定の期間要件の確認フロー
上記④まで確認が進んでも初診日が特定できない場合、「一定の期間要件の確認フロー」へと進みます。
「一定の期間要件の確認」とは、簡単に言えば、
- 上記②③で提出した資料から「初診日が存在する一定期間」を(審査側が)判断し
- その一定期間のうちのどこに初診日があっても年金保険料の納付要件を満たしていれば
- 本人が申し立てた初診日が認められる
というものです。
詳しくは、次の説明をご確認ください。
↓日本年金機構のページの5ページ目からの抜粋です

参考となる資料がない場合
「一定の期間」は、提出した参考資料等から判断されます。
では、参考資料が乏しい(ない)場合はどうなるのでしょうか?
その場合、「一定の期間」の最大幅は次のようになります。
- 一定の期間の「始期」は、出生年月日
- 一定の期間の「終期」は、一番古い医証(受診状況等証明書や診断書など)で確認できる受診日
※上記により、「診断書等で確認できる一番古い受診日までの間に年金保険料の未納がまったくなければ、少なくとも障害基礎年金は支給される可能性がある」と言えることになります。
※障害厚生年金を受給するためには、初診日が厚生年金の加入期間中にあることを証明できるだけの資料が必要です。
※「一定の期間」に関する取扱いは、初診日を証明できないことによる「却下」ができるだけ生じないようにすることを目的としています。
そのため、「初診日を証明するための資料をすべて提出してもなお特定できない場合」が対象となります。
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まとめ
障害年金請求における初診日証明はものすごく重要であり、これができるかどうかで明暗が分かれると言っても過言ではありません。
ただし、年金機構には「初診日が証明できないことによる却下」をなるべく少なくしようという考えがあります。
- 初診日のカルテがすでに廃棄されている
- 閉院により初診日のカルテがない
などの状況でもすぐに諦めず、
- 5年以上前に作成された診断書やカルテに初診日が記載されていないか
- 診察券、領収書、お薬手帳などの参考となる資料が残っていないか
- 調剤薬局に記録は残っていないか
確認してみましょう。
参考としたページ
この記事を書いた人

鈴木雅人
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