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内部障害の診断書に掲載されている「一般状態区分表」についての簡単な説明です。

内部障害とは、内科的疾患による障害のことです。

そして、一般状態区分表とは、内科的疾患による生活上・就労上の障害がどの程度かについて、医師がア~オの5段階で評価するものです。

また、内部障害で障害年金を請求する場合、「検査数値」と「一般状態区分表」の両方に該当しないと認定基準を満たしません。

そのため、医師に自分の状態をきちんと伝え、適切な診断書を作成してもらいましょう。

一般状態区分表は、内部障害での障害年金請求で重要なものです

内部障害とは、内科的疾患による障害のことです。

内部障害で使用する診断書には次の4種類があり、傷病・障害に応じて適切な診断書を使用します。

  • 呼吸器疾患の障害(診断書:様式第120号の5)
  • 循環器疾患の障害(診断書:様式第120号の6-(1))
  • 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害(診断書:様式第120号の6-(2))
  • 血液・造血器・その他の障害(診断書:様式第120号の7)

一般状態区分表は、内部障害用の診断書に掲載されています

一般状態区分表は、内部障害の4種類の診断書(上記参照)に共通して掲載されています。

外部障害や精神障害の診断書には載っていません。

内科的疾患による障害の程度について、当てはまる区分(ア~オ)に医師がマルを付けます。

一般状態区分表

区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

検査数値と一般状態区分表、どちらも重要です

一般状態区分表は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に定められ、等級認定の一つの要素となっています。

そして、内部障害では、「検査数値」と「一般状態区分表」の両方に該当しないと認定基準を満たしません

つまり、検査数値ももちろん重要ですが、それと同様に日常生活能力も重視されるということです。

また、イやウに「軽労働」の記載があるとおり、内部障害の等級認定には、原則として就労状況が関係してきます。

一般状態区分表と等級の関係

各疾患の異常検査数値との組み合わせになりますが、一般状態区分表のア~オと等級の関係は次のようになります。

  • 1級はオに該当することが必要
  • 2級はエまたはウに該当することが必要
  • 3級はウまたはイに該当することが必要

下記の例も参考としてください。

検査数値と一般状態区分表がどちらも大切である例

たとえば、呼吸不全の場合、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」には次のように記載されています。

たとえば

呼吸不全による各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

1級 前記(4)のA表及びB表の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級 前記(4)のA表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの

3級 前記(4)のA表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

🔗障害認定基準(日本年金機構のページ)

また、たとえば、心筋疾患の場合、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」には次のように記載されています。

たとえば

疾患別に各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりである。


1級 病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA 心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級
1 異常検査所見のFに加えて、病状をあらわす臨床所見が 5 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち 2 つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が 5 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級
1 EF値が 50%以下を示し、病状をあらわす臨床所見が 2 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち 1 つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が 1 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

🔗障害認定基準(日本年金機構のページ)

まとめ

障害年金は「傷病年金」ではないため、病名によって支給不支給が決まるものではありません。

極端な話ですが、仮に大病を患っていて検査数値も悪かったとします。

でも、そのような場合でも、もし、無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるような状態(一般状態区分表のアに該当するような状態)であれば、障害年金は支給されません。

これは、病気ではあるものの、障害の状態にはない(制限を受けることがない)ためです。

よって、医師に診断書の作成を依頼する際には、生活上の制限、あるいは就労上の制限についてしっかりと伝え、診断書に反映してもらうようにしましょう

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