ざっくり言うと…
傷病手当金と障害年金について、両方同時にもらえる場合もあれば、もらえない場合もあります。
それは、障害年金が「厚生年金」なのか「基礎年金」なのか、あるいは、傷病が「同一」なのか「別々」なのかによって異なります。
また、同一傷病で両方が支給された場合、ケースによっては、傷病手当金の返還が求められることがあります。
傷病手当金と障害年金の関係
基本的に、傷病手当金の支給期間は1年6か月、障害年金は初診日から1年6か月後(障害認定日)からの請求となり、制度としては連続しているものとなります。
まず傷病手当金、その後に障害年金という流れです。
ただ、2つの制度の受給時期が重なるケースもあり得ます。
では、傷病手当金と障害年金の受給期間が重なった場合、それらは同時に受給できるのでしょうか?
どちらか一方しか受給できないのか、それとも両方受給できるのか、次のように定められています。
障害厚生年金で同じ傷病の場合
同じ病気やケガの場合、障害厚生年金が優先される
傷病手当金を受給できる人が、同一の疾病・負傷等について障害厚生年金の支給を受けることができるときは、障害厚生年金が優先的に支給され、傷病手当金は支給されません。
ただし、障害厚生年金の額(障害厚生年金と障害基礎年金の合算額 ÷ 360)が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額分が傷病手当金として支給されます。
傷病手当金を返さなくてはならないケースもある
同一の疾病・負傷等について、すでに傷病手当金を受給済みとなっている期間について、重ねて障害厚生年金が支給された場合、傷病手当金の返還が求められます。
もらったお金(後から支給された障害厚生年金)をすぐに全部使ってしまわないよう、気をつけましょう。
障害厚生年金で別々の傷病の場合
別々の病気やケガの場合、両方もらえる
原因が同一ではなく、例えばケガで休職して傷病手当金を受給し、障害厚生年金はうつ病で受給するといった場合には、調整は行われずに両方を同時に受給することができます。
障害基礎年金だけの場合
障害基礎年金だけの場合、両方同時にもらえる
受給する障害年金が、障害基礎年金だけの場合、傷病手当金と障害年金は両方を同時に受給することができます。
同一傷病による傷病手当金と障害年金が同時に受給できないのは、あくまで障害厚生年金の場合です。
まとめ
傷病手当金と障害年金との関係で一番気をつけなければなければならないのは、傷病手当金の返還が求められるケースです。
傷病手当金がすでに支給された期間に、重ねて後から障害厚生年金が支給された場合は要注意です。
そのお金(後から支給された障害厚生年金)をどんどん使ってしまうと、いざ返還を求められたときにお金がなくて返せないという事態になりかねません。
そのようなことがないよう、制度について理解しておきましょう。もし不安なときは、加入している協会けんぽ、あるいは健康保険組合に確認することをおすすめいたします。
傷病手当金とは(参考)
傷病手当金は、協会けんぽや健康保険組合に加入する会社員が、傷病による療養のために会社を休まなければならなくなり、その間の給与が従前のように支払われなくなったときに支給されるものです。
傷病手当金の支給要件は、以下の4つです。
傷病手当金の支給要件
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
つまり、傷病による療養中であるために仕事をすることができないときに、その4日目から支給されます。
支給期間は通算して1年6か月、支給額は給与の概ね3分の2です。
また、もし会社を辞めたとしても、辞めるまでに1年以上健康保険に加入しており、かつ辞めた時点で傷病手当金を受給していた等の要件を満たしていれば、辞めた後も引き続き支給されます。