主な傷病

  • 脳血管障害による麻痺(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血、脳血栓症など)
  • 肢体の切断
  • 脊髄損傷
  • 外傷性運動障害
  • 変形性股関節症
  • 線維筋痛症
  • 強直性脊髄炎
  • 脳性麻痺
  • パーキンソン病
  • 筋ジストロフィー
  • 関節リウマチ
  • 脊髄小脳変性症
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • 脳腫瘍
  • 脊髄腫瘍
  • 筋萎縮性側索硬化症

※傷病名ではなく、肢体に顕著な障害がある場合に、肢体の障害用の診断書を用います。

障害の分類

肢体の障害は、次の4つに分類されます。

  • 上肢の障害
  • 下肢の障害
  • 体幹・脊柱の機能の障害
  • 肢体の機能の障害

順に見ていきましょう。

ポイント抜粋

・上肢の障害や下肢の障害では、診断書の項目のなかでも関節の他動可動域(医師などが手を添えるなどして動かせる範囲)と筋力が重点的に診査されます。

・肢体の機能の障害は、日常生活動作と関節可動域、筋力、巧緻性(器用さ)などが重点的に診査されます。

・上肢や下肢に人工骨頭人工関節の挿入置換をした場合は、原則として3級に認定されます。

・診断書には、日常生活動作の障害の程度について記入する欄があり、「タオルを絞る」「靴下を履く」などの日常生活の動作について、具体的にどういう状況なのかを医師に伝えておく必要があります。

認定基準(上肢の障害)

1級

・両上肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「両上肢の用を全く廃したもの」という。)

・両上肢の全ての指を欠くもの(以下「両上肢の全ての指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。)

・両上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの(以下「両上肢の全ての指の用を全く廃したもの」という。)

2級

・両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの (以下「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を基部 から欠き、有効長が0のもの」という。)

・両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい 障害を有するもの(以下「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの」という。)

・一上肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一上肢の用を全く廃したもの」という。)

・一上肢の全ての指を欠くもの(以下「一上肢の全ての指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。)

・一上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの(以下「一上肢の全ての指の用を全く廃したもの」という。)

・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする 病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

・一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの

・長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

・一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指 若しくはひとさし指を併せ一上肢の3指以上を失ったもの (以下「一上肢のおや指及びひとさし指を近位指節間関節 (おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、一上肢の3指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの」という。)

・おや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの

・身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

障害手当金

・一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの

・長管状骨に著しい転位変形を残すもの

・一上肢の2指以上を失ったもの(以下「一上肢の2指以上を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で 欠くもの」という。)

・一上肢のひとさし指を失ったもの(以下「一上肢のひとさし指を近位指節間関節以上で欠くもの」という。)

・一上肢の3指以上の用を廃したもの

・ひとさし指を併せ一上肢の2指の用を廃したもの

・一上肢のおや指の用を廃したもの

・身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

認定要領(上肢の障害)

上肢の障害の3区分

機能・欠損・変形

上肢の障害は、次の3つに区分されます。

  1. 機能障害
  2. 欠損障害
  3. 変形障害

順に見ていきましょう。

1)上肢の機能障害

両上肢の機能に著しい障害

1級の「両上肢の機能に著しい障害を有するもの」(「両上肢の用を全く廃したもの」)とは、両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したものをいいます。
(次のいずれかに該当する程度のもの)

・不良肢位で強直しているもの

・関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

・筋力が著減又は消失しているもの

上肢の指の機能に著しい障害

1級・2級の「上肢の指の機能に著しい障害を有するもの」(「上肢の指の用を全く廃したもの」)とは、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、 関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、 指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいいます。

一上肢の機能に著しい障害

2級の「一上肢の機能に著しい障害を有するもの」(「一上肢の用を全く廃したもの」)とは、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したものをいいます。
(次のいずれかに該当する程度のもの)

・不良肢位で強直しているもの

・関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

・筋力が著減又は消失しているもの

日常生活 著しい制限

2級の「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいいます。

両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害

2級の「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの」(「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの」)とは、両上肢のおや指の用を全く廃した程度の障害があり、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指の用を全く廃した程度の障害があり、そのため両手とも指間に物をはさむことはできても、一指を他指に対立させて物をつまむことができない程度の障害をいいます。

関節の用を廃したもの

3級の「関節の用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいいます。

例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節です。

労働 著しい制限

3級の「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一上肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの)又は両上肢に機能障害を残すもの(例えば、 両上肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)をいいます。

人工骨頭または人工関節は3級

人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものについては、次により取り扱われます。

一上肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものや両上肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものは3級と認定する

ただし、挿入置換してもなお、一上肢については「一上肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両上肢については「両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。

障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節を挿入置換した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く)とする。

指の用を廃した

3級・障害手当金の「指の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

・指の末節骨の長さの2分の1以上を欠くもの

・中手指節関節(MP)又は近位指節間関節(PIP)(おや指にあっては、指節間関節(IP))に著しい運動障害(他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すもの

関節に著しい機能障害を残す

障害手当金の「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の他動可動域が健側の 他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいいます。

例えば、常時ではないものの、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼です。

労働 制限

障害手当金の「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一上肢に機能障害を残すもの (例えば、一上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)をいいます。

日常生活における動作

診断書の「日常生活における動作」において、上肢の機能障害に関するものは概ね次のとおりです。

  • さじで食事をする
  • 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
  • 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
  • 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
  • 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
  • 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

2)上肢の欠損障害

いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、原則として、切断又は離断をした日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く)です。

ただし、障害手当金を支給すべきときは、創面が治ゆした日です。

上肢の指を欠く

1級・2級の「上肢の指を欠くもの」とは、基節骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいいます。

両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠く

2級の「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの」とは、必ず両上肢のおや指を基部から欠き、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指を基部から欠くものです。

指を失った

3級・障害手当金の「指を失ったもの」とは、おや指については指節間関節(IP)、その他の指については近位指節間関節(PIP) 以上で欠くものをいいます。

3)上肢の変形障害

長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残す

3級の「長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、 次のいずれかに該当するものをいいます(偽関節は、骨幹部又は骨幹端部に限る)。

・上腕骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

・橈骨及び尺骨の両方に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

長管状骨に著しい転位変形を残す

障害手当金の「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

ただし、変形とは外部から観察できる程度(15度以上わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものをいい、長管状骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえその部位に肥厚が生じたとしても、長管状骨の変形としては取り扱われません。

・上腕骨に変形を残すもの

・橈骨又は尺骨に変形を残すもの

認定基準(下肢の障害)

1級

・両下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「両下肢の用を全く廃したもの」という。)

・両下肢を足関節以上で欠くもの

2級

・両下肢の全ての指を欠くもの(以下「両下肢の10趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。)

・一下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一下肢の用を全く廃したもの」という。)

・一下肢を足関節以上で欠くもの

・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする 病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

・一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの

・長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

・一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの

・両下肢の10趾の用を廃したもの

・身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

障害手当金

・一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの

・一下肢を3センチメートル以上短縮したもの

・長管状骨に著しい転位変形を残すもの

・一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの(以下 「一下肢の第1趾又は他の4趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。)

・一下肢の5趾の用を廃したもの

・身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

認定要領(下肢の障害)

下肢の障害の4区分

機能・欠損・変形・短縮

下肢の障害は、次の4つに区分されます。

  1. 機能障害
  2. 欠損障害
  3. 変形障害
  4. 短縮障害

順に見ていきましょう。

1)下肢の機能障害

両下肢の機能に著しい障害を有する

1級の「両下肢の機能に著しい障害を有するもの」(「両下肢の用を全く廃したもの」)とは、両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したものをいいます。
(次のいずれかに該当する程度のもの)

・不良肢位で強直しているもの

・関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

・筋力が著減又は消失しているもの

ただし、両下肢それぞれの膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように、両下肢の3大関節中単にそれぞれ1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その両下肢を歩行時に使用することができない場合には、「両下肢の用を全く廃したもの」と認定されます。

一下肢の機能に著しい障害を有する

2級の「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」(「一下肢の用を全く廃したもの」)とは、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したものをいいます。
(次のいずれかに該当する程度のもの)

・不良肢位で強直しているもの

・関節の他動可動域が、健側の他動可動域の 2 分の 1 以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

・筋力が著減又は消失しているもの

ただし、膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合には、「一下肢の用を全く廃したもの」と 認定されます。

日常生活 著しい制限

2級の「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいいます。

関節の用を廃した

3級の「関節の用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの (例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいいます。

労働 著しい制限

3級の「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの)又は両下肢に機能障害を残すもの(例えば、 両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)をいいます。

人工骨頭または人工関節

人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものについては、次により取り扱われます。

一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節を挿入置換したものは3級と認定する

ただし、挿入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。

障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節を挿入置換した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

足趾の用を廃した

3級・障害手当金の「足趾の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

・第1趾は、末節骨の2分の1以上、その他の4趾は遠位趾節間関節(DIP)以上で欠くもの

・中足趾節関節(MP)又は近位趾節間関節(PIP)(第1趾にあっては、趾節間関節(IP))に著しい運動障害 (他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すもの

関節に著しい機能障害を残す

障害手当金の「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼)をいいます。

労働 制限

障害手当金の「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢に機能障害を残すもの (例えば、一下肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)をいいます。

日常生活における動作

診断書の「日常生活における動作」において、下肢の機能障害に関するものは概ね次のとおりです。

  • 片足で立つ
  • 歩く(屋内)
  • 歩く(屋外)
  • 立ち上がる
  • 階段を上る
  • 階段を下りる

2)下肢の欠損障害

いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、原則として、切断又は離断をした日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)です。

ただし、障害手当金を支給すべきときは、創面が治ゆした日です。

足関節以上で欠く

1級・2級の「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいいます。

趾を欠く

2級・障害手当金の「趾を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP)から欠くものをいいます。

3)下肢の変形障害

長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残す

3級の「長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます(偽関節は、骨幹部又は骨幹端部に限る)。

・大腿骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

・脛骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

長管状骨に著しい転位変形を残す

障害手当金の「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

・大腿骨に変形を残すもの

・脛骨に変形を残すもの(腓骨のみに変形を残すものについても、その程度が著しい場合はこれに該当する)

ただし、変形とは外部から観察できる程度(15 度以上わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものをいい、長管状骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえその部位に肥厚が生じたとしても、長管状骨の変形としては取り扱われません。

4)下肢の短縮障害

下肢長の測定は、上前腸骨棘と脛骨内果尖端を結ぶ直線距離の計測によります。

一下肢が健側の長さの4分の1以上短縮

一下肢が健側の長さの4分の1以上短縮した場合は、「一下肢の用を全く廃したもの」(2級)に該当するものとして認定する。

健側比10cmまたは10分の1以上短縮

一下肢が健側に比して10センチメートル以上又は健側の長さの10分の1以上短縮した場合は、「一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」(3級)に 該当するものとして認定する。

認定基準(体幹・脊柱の機能の障害)

1級

・体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの

・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする 病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

・体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの

・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

・脊柱の機能に著しい障害を残すもの

障害手当金

・脊柱の機能に障害を残すもの

認定要領(体幹の機能の障害)

体幹の機能障害は、高度体幹麻痺を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺等によって生じるものです。

座っていることができない程度の障害

1級の「体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの」 とは、腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもができないものをいいます。

立ち上がることができない程度の障害

1級の「体幹の機能に立ち上がることができない程度の障害を有するもの」 とは、臥位又は坐位から自力のみで立ち上れず、他人、柱、杖、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上ることができる程度の障害をいいます。

歩くことができない程度の障害

2級の「体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの」とは、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害をいいます。

認定要領(脊柱の機能の障害)

脊柱の機能障害は、脊柱の脱臼骨折又は強直性脊椎炎等によって生じるもので、荷重機能障害運動機能障害があります。

荷重機能障害

荷重機能障害は、脊柱の支持機能の障害で、日常生活及び労働に及ぼす影響が大きいので重視する必要があります。

運動機能障害

運動機能障害は、基本的には、前屈・後屈運動のみの測定で可とされますが、脊柱全体の運動機能をみる必要がある場合は回旋・側屈を測定し認定されます。

(傷病の部位がゆ合してその部位のみについてみると運動不能であっても、他の部位が代償して脊柱に運動障害は軽度あるいはほとんど認められない場合が多いので、脊柱全体の運動機能、すなわち、日常生活における動作を考慮し認定される。)

日常生活における動作

診断書の「日常生活における動作」において、脊柱の機能の障害に関するものは概ね次のとおりです。

  • ズボンの着脱(どのような姿勢でもよい)
  • 靴下を履く(どのような姿勢でもよい)
  • 座る(正座、横すわり、あぐら、脚なげ出し)
  • 深くおじぎ(最敬礼)をする
  • 立ち上がる

日常生活 著しい制限

2級の「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が 前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、日常生活における動作が一人でできるが非常に不自由な場合又はこれに近い状態をいいます。

脊柱の機能に著しい障害

3級の「脊柱の機能に著しい障害を残すもの」とは、脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものをいいます。

脊柱の機能に障害を残す

障害手当金の「脊柱の機能に障害を残すもの」とは、脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のものや頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたものをいいます。

※脊柱可動域の測定方法については、別紙「肢体の障害関係の測定方法」によります。

※認定に当たっては、単に脊柱の運動障害のみでなく、随伴する神経系統の障害を含め、総合的に認定されます。

認定基準(肢体の機能の障害)

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする 病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

認定要領(肢体の機能の障害)

広範囲にわたる障害の場合

肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」のそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「肢体の機能の障害」として認定されます。

総合的に認定

肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。

なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。

例示

各等級に相当すると認められるものは、次のとおり例示されています。

※肢体の機能の障害が両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によって認定すること。

なお、肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合であって、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定すること。

日常生活における動作

診断書の「日常生活における動作」と身体機能との関連は、厳密に区別することができませんが、おおむね次のとおりです。

なお、手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価されることなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱われます

手指の機能

  • つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
  • 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
  • タオルを絞る(水をきれる程度)
  • ひもを結ぶ

上肢の機能

  • さじで食事をする
  • 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
  • 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
  • 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
  • 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
  • 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

下肢の機能

  • 片足で立つ
  • 歩く(屋内)
  • 歩く(屋外)
  • 立ち上がる
  • 階段を上る
  • 階段を下りる

障害程度と日常生活動作の関係

身体機能の障害の程度と診断書の「日常生活における動作」の障害との関係を参考として示すと、次のとおりです。

1級の「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいいます。

1級・2級の「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが 「一人でできるが非常に不自由な場合」をいいます。

2級・3級の「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいいます。